しずおか日赤メールマガジンMailmagazine blog

第180号 令和2年08月01日発行

2020年8月1日

猛暑や急な雨など、天候が落ち着かない日々ですね。
先月は、本来ならば東京オリンピック2020の開会式が実施予定でした。
延期になった式の代わりに「全国一斉花火プロジェクト」が行われ、雲の間から花火が打ち上げられましたが、みなさまご覧になられたでしょうか。
記録的な豪雨が観測される中、台風は未だ5月・6月の2個のみであり、1951年の観測開始以来、初めて台風発生のない7月となりました。
前例のないことばかりですが、こんなときこそ日々の生活を丁寧に過ごしたいものです。
それでは、メールマガジン第180号をお届けいたします。

慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)について

4月に当院に赴任した総合内科 田島医師に腎臓病についてうかがいました!

慢性腎臓病は、近年、急速にその重要性が認識されている疾患です。その背景には、腎臓の機能が低下し透析療法を受ける患者数が増加していること、腎臓機能が低下すると脳卒中や心筋梗塞などの心血管病が増えることがあげられます。一人でも多くの方に慢性腎臓病について知っていただければと思います。腎臓に関する問題について、お気軽に相談いただければと考えております。どうぞよろしくおねがいいたします。
総合内科 田島医師
腎臓の働きは?
腎臓は、そらまめのような形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器で、腰のあたりに左右対称2個あります。腎臓は血液を濾過して老廃物を尿として体の外へ追い出してくれます。腎臓の働きが悪くなると尿が出なくなり、老廃物が体に蓄積し尿毒症になります。他にも、腎臓には血圧の調整を行ったり、ナトリウム・カリウム・カルシウムなどのミネラルや酸性・アルカリ性のバランスを保ったり、さらには血液を作るホルモンを分泌する、骨を健康に保つ、といった多くの働きがあります。腎臓は私たちの体の中において重大な役割を担っています。
慢性腎臓病とはどのような病気か?
慢性腎臓病とは、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を言います。年齢とともに腎機能は低下していくので、高齢者になるほど慢性腎臓病が多くなります。高血圧、糖尿病、コレステロールや中性脂肪が高い(脂質代謝異常)、肥満やメタボリックシンドローム、腎臓病、家族に腎臓病の人がいる場合は要注意です。さらに慢性腎臓病は、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になっています。慢性腎臓病が進行すると、夜間尿、むくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が現れてきます。これらの症状が自覚されるときは、すでに慢性腎臓病がかなり進行している場合が多いといわれています。つまり、体調の変化に気をつけているだけでは早期発見は難しいといえます。定期的に健康診断を受け、尿や血圧の検査をすることが早期発見につながります。特にタンパク尿陽性の方は要注意ですので、病院で詳しい検査を受けることが大切です。
慢性腎臓病の治療は?
残念ながら慢性腎臓病では腎臓機能がある程度まで低下してしまうと、腎臓はもとに戻ることはありません。慢性腎臓病においては早期発見・早期治療によって、腎臓の機能をこれ以上低下させないことがとても重要です。具体的には、日々の生活習慣の改善、食事療法や薬物治療による血圧管理、貧血改善、脂質代謝管理、糖代謝管理、塩分摂取制限などを総合的に行うことが必要となります。しかし、これらの総合的な管理で腎臓機能を守っていても、徐々にその働きが低下し、末期腎不全(慢性腎臓病がかなり進行した状態)に至ってしまう場合もあります。その際には、透析や腎移植が必要となります。透析は、機能が低下した腎臓の代わりに体の中の老廃物や余分な水分を除去する治療法です。一方、腎移植には親、子、兄弟(姉妹)などの血縁者や配偶者から腎臓の提供を受ける生体腎移植と、亡くなった方から提供を受ける献腎移植があります。

食物や蜂による急性アレルギーにご注意!

6月に県内で草刈り作業をしていた男性がハチに刺され死亡した事故が起きました。命に関わることもあるアレルギーについて知っておきましょう

  • アナフィラキシーとは?
食物や蜂などの原因となる物質により、短時間のうちに全身に複数の激しいアレルギー症状が出る反応です。蕁麻疹・かゆみ等の皮膚症状、目のかゆみや唇の腫れ等の粘膜症状、くしゃみ・咳・息苦しい等の呼吸器症状、そして腹痛・嘔吐等の消化器症状もみられます。血圧低下で意識を失う等の危険な状態になることもあり、これをアナフィラキシーショックといいます。

  • アナフィラキシーの原因は?
〈食物〉卵、牛乳、小麦、そば、ピーナツ等 乳幼児に多く見られます
〈蜂毒〉スズメバチ、アシナガバチ等 年間20人程が亡くなっています
〈薬物〉抗生物質、解熱鎮痛剤、抗てんかん薬、造影剤、麻酔薬等
〈ラテックス〉医療用手袋、風船、ゴム草履等 天然ゴムに含まれます
〈運動〉運動中や直後に、また特定の食物との組合わせで起こることがあります
 
  • アナフィラキシーが起こったら
原因となった物質をすぐに取り除き、食物の場合は口をゆすぎます。蜂の毒針はすぐに抜けるようなら抜きますが、毒や針を体内に押し込んでしまう危険があるので無理に取らないようにします。症状は一度おさまっても再びあらわれることがありますから、必ず医療機関を受診しましょう。
過去にアナフィラキシーの原因となった物質を摂取して明らかに異常を感じた時や、のどが締め付けられる、呼吸困難などがあらわれた時は、応急処置として速やかにアドレナリン自己注射薬(エピペン)を用います。子供の場合や自分で打てない時は、救急救命士、保護者、教職員が注射することも可能です。エピペンは気管支を拡げ血圧を上げてショック症状を緩和しますが、その作用は一時的ですので使用した後は直ちに医療機関を受診しましょう。
アナフィラキシーの経験がある・起こる危険がある方は、専門の医師に受診してエピペンを常に携帯することをお勧めします。
参考: マイランEPD合同会社 パンフレット

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