しずおか日赤メールマガジンMailmagazine blog

第163号 平成31年03月01日発行

2019年3月1日

三寒四温の言葉どおり、冬が行きつ戻りつしている昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今月15日~21日は「こころの健康づくり週間」です。厚生労働省が平成12年に制定しました。こころの健康を保つには、適度な運動や、バランスのとれた栄養・食生活は身体だけでなくこころの健康においても重要な基礎となります。これらに、心身の疲労の回復と充実した人生を目指す「休養」が加えられ、健康のための3つの要素とされてきました。
さて、メールマガジン第163号をお届けします。みなさんには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

「変形性股関節症」に対する身体に優しい外科治療(2)

整形外科部長
股関節・人工関節センター センター長
西脇 徹 医師

腰や背中など近接部位と相互に影響する股関節障害

変形性股関節症とはごく簡単に言えば、股関節を構成する大腿骨と骨盤の間の軟骨がすり減って痛みが出る疾患のこと。しかしこの障害は、ただ股関節が痛むだけの問題ではありません。
一例を挙げましょう。変形性股関節症はもともと臼蓋(きゅうがい)形成不全がある人に起こりやすい疾患です。臼蓋とは骨盤内側の大腿骨がはまる屋根の部分で、体重を支える役割があります。臼蓋形成不全ではこの部分が小さく、臼蓋の軟骨に多くの負荷がかかって傷み、変形が進んでしまうのです。若い時は比較的大きくなっている臼蓋の後ろ部分に体重が載るよう骨盤を無意識に前傾させることが多いのですが、これにより腰は正常よりも反り返り(図1b)徐々に背骨の変形が進みます。やがて加齢により腰を反らした姿勢が難しくなると、骨盤は逆に後ろに倒れ(図1c)臼蓋の体重を支える部分が少なくなり、股関節の変形が進むという悪循環に。このように股関節障害は他の部位とも相互に影響を及ぼし合うのです。
図1)
a:理想的な姿勢
b:骨盤が前に倒れ腰の部分が
   反ってしまっている
c:背骨が丸くなり骨盤が後ろに
   倒れてしまっている

保存療法からAMISまで最も適した治療を提案

私の専門は股関節ですが、患者さんの身体全体の状態を診て、股関節障害によりどの部分にどんな負担がかかっているのかを判断、病態に合った治療が大切と考えます。  身体に最も優しい治療は保存治療です。例えば図1bの状態では、腹筋やお尻の筋力は弱くなり、股関節前面の筋は短縮、腰背部の筋は硬化するなど様々な部位に影響が出るのですが(図2)、こうした場合はそれぞれの筋の状態に合わせた運動療法が効果的です。しかしながら、保存治療には限界があります。変形が進行し保存治療のみでは改善が難しい場合や、今後変形が進行する可能性が高い場合は、手術による治療が有効。
当センターでは様々な手術の中から最適なものを提案します。私が得意とするのは「MIS (※2)」と呼ばれる人工股関節置換術の最小侵襲手術です。
図2)
図1bの状態における各部位の筋肉の状態
変形性股関節症が様々な部位に影響する
MISが日本に紹介されたのは2000年代初頭。以来約20年間の時を経て、MISは飛躍的に進歩をとげています。現在では股関節周囲の筋肉はもちろん、靭帯や組織間に存在する微小な組織へのダメージも極力少なくなっています。現在MISの中で最も低侵襲とされているのが、2011年に私が日本に導入した「AMIS(組織間温存法)」。これは従来のMISで切除していた股関節周囲の関節包や関節包靱帯を温存、さらに組織と組織の境界にも負担をかけないようにするもので、手術の影響をできるだけ関節内に限定させることができます。

※1 組織に与えるダメージ
※2 Minimally Invasive Surgeryの略

産後2週間における産婦健康診査が始まりました

産後まもないお母さんにとって、赤ちゃんとの生活は楽しみである一方、環境の変化や子育てなどに様々な不安を抱いているもの。そのため、心身ともに体調を崩しやすい時期でもあります。産婦健康診査とは、そんなお母さんたちの身体とここおろの健康状態を確認するもので、既に一部の自治体では平成30年より実施されていました。
終始、和やかな雰囲気で行われます
静岡市では平成31年1月1日以降出産の方を対象に、産後2週間と産後1か月の検診における費用を助成する制度が始まりました。当院ではこれまでマミールームにて助産師による退院後の授乳指導を行ってきましたが、今後は授乳指導に加えて産後2週間の産婦健康診査も助産師が実施します。退院後の健康状態に早期から関わることで、切れ目のない母子支援を目指しています。

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