しずおか日赤メールマガジンMailmagazine blog

第160号 平成30年12月01日発行

2018年12月1日

寒さも本格的になり、今年も残すところあと1ヶ月となりました。いかがお過ごしでしょうか。
さて、今月5日は「国際ボランティアデー」です。国際ボランティアデーは、昭和60年に国際連合により、世界の平和と社会開発の実現のために活動するボランティアの意義の認識を高め、ボランティア活動の推進を目的として定められました。
そして、本日1日からは日本赤十字社とNHKが共同で行っている「NHK海外たすけあい」募金運動が始まります。日本も震災で苦しい時は世界の国々から多くの支援を受けてきました。海外で紛争・災害・病気で苦しむ人々を支援するため、何卒ご理解、ご協力の程、宜しくお願いいたします。
それではメールマガジン第160号をお届けします。

脳卒中に”二刀流”で挑む! 脳血管障害の外科治療(2)

突然前触れなく訪れる脳血管障害の恐ろしさ

脳卒中とは、脳の血管に起こる様々な障害を指す言葉。脳卒中の「卒中」には元々”風に当たる”という意味があります。昔中国では、”悪い風に当たると病になる”と考えられていたそうで、一見何の前触れもなく発症する脳血管障害の様子をよく表しています。
脳血管障害は大きく脳梗塞、くも膜下出血、脳出血に分けられます。
脳梗塞は、脳の血管が狭くなったりして血流が滞り、脳に酸素が届かなくなることで発症するもの。急に片側の手足や顔がしびれたり、バランスが取れずふらついたり、ろれつが回らなくなるなどの神経症状が起こります。
くも膜下出血は、脳の血管にできた脳動脈瘤という瘤(こぶ)が破裂し、くも膜下に出血が起こるもの。致死率も後遺障害の残る可能性も高い病気です。発症者は一万人に一人と多くありませんが、原因となる脳動脈瘤を持つのは百人に一人と、案外身近な病気です。
脳出血は、何らかの理由で脳の血管が破れて出血し、血液の塊が脳に直接ダメージを与えたり圧迫したりして様々な障害を起こすもの。出血の場所や量によって症状や程度は様々ですが、命に関わることもあります。

脳血管治療の2つの方法、開頭手術と血管内治療

脳血管障害の治療には、頭部を開いて病変を治療する「開頭手術(直逹手術)」と、太ももの付け根からカテーテルを入れ血管内で治療する「血管内治療」の2つがあります。
例えば、くも膜下出血を引き起こす脳動脈瘤の治療であれば、開頭手術では頭部を開くので瘤のくびれをクリップで閉鎖するクリッピング術を行います。これに対し血管内手術では、血管に入れたカテーテルから動脈瘤にコイルを入れ、瘤の内側をコイルで詰めて塞ぐコイル塞栓術を行います。
また脳梗塞の原因となる頸部頚動脈搾取の治療であれば、直逹手術では頚動脈を切開して内部のプラークを取り除く内膜剥離術を行います。これに対し血管内手術では、頚動脈の狭くなった部位にステントという器具を入れ、壁に押しつけることで血管を拡張させます。

より適切な治療を目指し”二刀流”で強みを生かす

血管内治療は開頭手術と比べ低侵襲ではありますが、低侵襲=低合併症リスクではありません。また血管内治療の操作性には限界があり、例えば先に挙げた脳動脈瘤でも瘤の大きさや形によってコイル塞栓術は適さない場合があります。
患者さんはそれぞれ病変の状態が異なり、年齢、病歴、体質、さらには生き方も異なります。一人一人に最も適した治療を行うには、開頭手術・血管内治療のどちらか一方では不十分。医師が両方の技術を持った”二刀流”であることが必要です。
静岡を含む東日本では、血管内治療の普及がまだ進んでいません。地域の中核病院としてすべての患者さんに対し最善の治療を提供するために、血管内治療の更なる普及が求められると考えます。

市民公開講座 「認知症の理解と家族の接し方」 が開催されました。

11月25日(日)、2号館4階第1会議室にて、市民公開講座が開催され、97名の方にご参加いただきました。
講師を務めた神経内科部長の小西高志医師と、認知症認定看護師の森藤あゆみさんが「認知症の理解と家族の接し方」と題し、現れる症状や薬を使う時の注意点などの解説をしました。講演の後半には脳の活性が期待される、指を使った簡単な体操が紹介され、参加者のみなさんと実践しました。シンプルなルールにもかかわらず実際にやってみると難しく、みなさん楽しそうに取り組んでいました。
「何度かコミュニケーションを諦めてしまったことがあったが、何かしらを伝えていきたいと思った」、「薬についてより詳しく知ることができた」などの感想をいただきました。

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