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股関節・人工関節センター

当センターの治療内容

 股関節・人工関節センターで診る主な疾患は、変形性股関節症、股関節臼蓋形成不全、特発性大腿骨頭壊死症、リウマチ性股関節症などの成人股関節疾患、人工股関節置換術後のゆるみなどの諸問題、股関節唇損傷、小児の股関節脱臼、ペルテス病や大腿骨頭すべり症などの小児股関節疾患、大腿骨頚部骨折や大腿骨転子部骨折などの外傷があります。
 股関節の手術療法には大きく分けて三種類(人工股関節置換術、骨切り手術、股関節鏡手術)あります。当股関節・人工関節センターの特徴を交えて大まかに説明します。

人工股関節置換術(THA)

・人工股関節置換術とは?
骨盤側の受け皿(臼蓋:きゅうがい)にカップ、太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)にステムと呼ばれるインプラントを設置します。カップにはライナーと呼ばれる軟骨の役割をするインプラントを設置し、ステムの先端にはボールを接続します。ライナーのなかでボールが動くことで股関節の動きを再現します。

・手術の方法(MISについて)
 人工股関節を設置する際に股関節に到達する方法にはいくつかの方法があります。当股関節・人工関節センターでは、ほとんどの患者様に対し主に最小侵襲手術MIS(Minimally Invasive Surgeryの略語)を行います。
 最小侵襲手術は体への負担を少なくする手術です。傷口の大きさだけでなく、筋肉などの体の中にある組織への負担を少なくする方法です。
 一般的にMISと言っても、体の中にある組織へ与える負担の程度により様々なMISがあります。日本で最初に広まった人工股関節置換術のMIS法はMini-oneと呼ばれる方法になります。Mini-oneは従来の人工股関節置換術に比し、皮膚切開や股関節周囲の筋肉の切開を少なくしたものです。その後、2000年代中頃から筋温存MIS(あるいは筋間進入MIS)が広まりました。Mini-oneが一部の筋肉を切開するのに対し、この筋温存MISは筋肉を切開せずに温存する方法で、究極のMIS法と言われました。当股関節・人工関節センター長の西脇も2007年から筋温存MISを導入しました。
 日本では2010年代中頃からさらにMIS法が進歩しました。従来の筋温存MISでは切除していた股関節周囲の関節包や関節包靱帯を温存する手技が広まり始めました。股関節の安定性に寄与する関節包・関節包靭帯を温存することで更に安定した股関節を再建することが可能になりました。最近では、さらに低侵襲な手技であるAMIS法(Anterior MIS、あるいは組織間温存法)が認知されつつあります。AMIS法(組織間温存法)は、関節包・関節包靱帯を温存するだけでなく、さらに組織と組織の境界にも負担をかけないようにする手技で手術の影響をできるだけ関節内のみに限局させた手技になります。
 実は筋温存MISは決して新しいものではありません。前述したように日本で広く認知され広まったのは2000年代中頃ですが、手技自体は1940年代にフランスの医師が開発したものです。最後に述べたAMIS法(組織間温存法)もフランスの医師が1990年代後半に”most-tissue-preserving surgical technique (組織を最大限温存する手術手技)”として開発した手技です。日本では2012年に当股関節・人工関節センター長の西脇がフランス留学後にこの手技を組織間温存法として日本に紹介しました。
 これらの手技は必ずしも全ての患者様に適用される方法ではありません。当センターではできる限り負担の少ない方法で治療を行いますが、患者様の体型や骨の状態、その他の状態により、これらの手技が適用されない場合もあります。今後の技術の進歩にご期待ください。痛みで困っている患者様は是非ご相談ください。

骨切り手術

骨盤側の骨や大腿骨の骨を切る手術、骨盤から採った骨を臼蓋の足りない部分に移植する方法など色々な手術法があります。患者様の年齢や関節の状態によって、患者様と相談しながら治療法を決めます。
 臼蓋形成不全に対する寛骨臼の形成手術は、日本では寛骨臼回転骨切り術(RAO)が最も広く知られています。同じ目的の手術で、かつRAOよりも低侵襲な手術方法として臼蓋骨回転骨切り術(CPO : Curved periacetabular osteotomy)があります。CPOは、RAOに比し皮膚切開が10cm程度と小さくなり、筋肉を切離する範囲も少なくなりました。当センター長の西脇は2007年からCPOを採用しています。その後、海外留学時に学んだ骨盤骨切り術の手術方法と組み合わせ、CPOの手術方法を一部改良し、筋肉をさらに温存した方法でCPOを行っています。通常のCPOで切離していた筋肉を温存することで、身体への負担がより小さくなります。また、皮膚切開の位置がより内側になるため下着に隠れやすいメリットもあります。センター長の西脇は、この手術方法を英文論文(Nishiwaki T., et al: Curved periacetabular osteotomy via a novel intermuscular approach between the sartorius and iliac muscles. Hip Int. 2018)で発表しています。

股関節鏡手術

股関節鏡という小さなカメラを関節内に入れて、そのカメラの映像を見ながら関節内の治療を行います。1.5cm程度の小さな傷を2〜3カ所作成します。筋肉への負担も少なく手術後の回復が早いことが特徴です。主に股関節唇損傷などが関節鏡での治療の対象になります。