しずおか日赤メールマガジン

第86号 平成24年10月01日発行


 みなさんこんにちは。朝晩の空気が涼しくなり、やっと秋の気配を感じられるようになりました。秋といえば、やはり「食欲の秋」。我が町内会では、子どもたちが春に苗植えをしたサツマイモが収穫の時期を迎え、芋掘り大会が開催されます。みんなで掘ったお芋は、その場でふかして食べます。普段、土に触れることも少ない子供たちにとって、農作業は貴重な体験。恵みの秋に感謝です。
 さて、メールマガジン第86号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
・・・早期発見!早期治療!・・・乳がんについて学ぼう

2. インフォメーション
クローズアップ 「医療秘書」

・・・早期発見!早期治療!・・・乳がんについて学ぼう

外科の宮部理香医師に聞く


◆10月は乳がん撲滅月間です。東京都庁のライトアップをはじめ各地でピンクリボン運動のイベントが催されます。この機会に、乳がんについて正しい知識を身に付けましょう。
 乳腺を専門としている外科の宮部理香医師に聞きました。





1) 乳がんとはどのような病気ですか?
 近年、乳がんにかかる女性が増えていることは皆さんご存じかと思います。現在、女性がかかる悪性腫瘍で一番多いのが乳がんで、日本人女性の約16人に1人、1年間に5万人を超える患者さんが新たに乳がんと診断され治療を受けています。乳がんの発生には女性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしていると考えられており、具体的には「初経年齢が早い」「閉経年齢が遅い」「出産歴がない」「初産年齢が遅い」「授乳歴がない」ことがリスク要因とされています。また、喫煙・アルコールの過剰摂取・閉経後の肥満も乳がんのリスクになることが知られています。血縁者に乳がんの方がいると、乳がんのリスクが高くなることも明らかです。
 日本人の乳がんの多くは乳管上皮細胞から発生します。がん細胞は増殖して乳管に沿って広がっていきますが、この段階で発見できれば「非浸潤性乳管癌」といって、命に関わるようなことは起こりません。しかし、増殖したがん細胞が乳管を破って外側に出てしまうと「浸潤性乳管癌」になり、血管やリンパ管の中にがん細胞が入り込んで転移を起こす可能性が出てきてしまい、全身の治療が必要となります。

2)どのような症状がありますか?
 乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で注意深く触るとわかるしこりになります。実際、自分でしこりを見つけて来院され、乳がんの診断に至る患者さんが多いのが現状です。しこりの上の皮膚がくぼんだり、乳首が変形したりすることもあります。また、乳首から分泌物が出ることもあります。
 しかし、このような症状はがんがある程度の大きさになって初めて出る症状です。しこりができた位置によっては、ある程度の大きさでも触ってもよく分からないことがあります。触っただけでは分かりにくい変化を発見するのが、マンモグラフィーや超音波などの検査です。症状がない時こそ、定期的な乳がん検診を受けることが大事です。

3)乳がん検診・自己検診の方法
 現在日本の乳がん検診は、40歳以上の方で2年に1回、マンモグラフィと視触診による検診が推奨されています。残念ながら、日本の乳がん検診受診率は欧米の水準よりもはるかに低く、欧米が70~80%の受診率であるのに対して、日本は30%に届きません。先進国の中で乳がんにより亡くなる方が増加しているのは日本だけで、これには低い検診受診率が関係していると考えられています。乳がんは早期発見・早期治療すれば治癒する方がほとんどです。まずは乳がん検診を定期的に受けましょう。
 マンモグラフィは乳房を挟んで圧迫し、レントゲン撮影する方法です。挟んで乳腺組織を均一にのばすことにより、微細な病変を発見することが可能となります。よく「お乳を挟むのが痛いからマンモグラフィはいやだ」という方がいますが、細かな病変を早期発見するためには必要な圧迫です。撮影は短時間で終わりますので、心配せずに受けてください。
 また、乳房は唯一自己検診が可能な臓器ともいえます。生理のある人は生理後1週間前後くらいの時期に、閉経した人は月に1回日を決めて自己検診することをお勧めします。入浴時に石けんなどをつけて滑りをよくした後、指の腹を使って乳房を軽く押しながら、乳房全体にしこりが無いかどうか確認します。また、鏡の前で左右の乳房を見比べて差がないかどうか確認することも大事なポイントです。

4)もし乳がんになったら、どんな治療をしますか?
 乳がんの治療は①乳房に対する「局所治療」と、②目に見えない微少ながん細胞をやっつける薬物による「全身治療」の組み合わせで行います。①は手術になりますが、がんの大きさや拡がりによって乳房温存手術や全摘手術など、適切な手術を選択します。②の全身治療は抗がん剤やホルモン療法といった薬物治療になりますが、乳がんはこの薬物治療が一般的によく効きます。最近の乳がん治療はこの「全身治療」が非常に重要であることが分かってきて、がん細胞のホルモン感受性や、Her2蛋白と呼ばれる特異な細胞膜蛋白の有無により、適切な薬物治療を選択することによって治療成績が良くなっています。
 乳がんに限らず、病気はすべて早期発見・早期治療が一番大事です。症状のないうちから、定期的な乳がん検診を受けましょう。また、異常を感じたらできるだけ早く医療機関を受診し、適切な検査を受けましょう。

外科医師
宮部 理香(みやべ りか)
日本外科学会外科専門医
日本超音波医学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医


クローズアップ 「医療秘書」

 診察時、医師の隣でパソコンを入力している薄い水色の制服を着た女性職員。さて、何をしている職員でしょうか?
 彼女たちは「医療秘書」といって、多忙を極めている医師の業務負担の軽減を図るため、事務作業を補助する仕事をしています。ますます多様化する病院業務の中で、医療秘書は患者さんの診察が円滑に進行するためのサポート役として重要な役割を担っています。



◆配置されている科と人数
  内科・消化器科・神経内科・循環器科・外科・
    整形外科・泌尿器科・産婦人科・耳鼻科・・・計15名



◆主な仕事の内容
   ・医師の指示のもと、診療記録への代行入力
   ・診断書などの文書作成補助
   ・医師から依頼された統計・学会資料の作成補助



◆ 産婦人科外来 医療秘書 山梨佐織
 正式には「医師事務作業補助者」と言い、医師の指示のもと事務作業をするのが私たちの仕事です。心掛けているのは、担当医師の診察がスムーズに行われるよう気を配ること、診察室に入る患者さんが不安にならないよう出来るだけ明るい雰囲気でお迎えすることです。担当する科や医師により仕事の内容は少しずつ違いますが、診察中は医師の1番側にいますので、スタッフと医師、患者さんと医師のパイプ役になれればと思っています。
 

しずおか日赤メールマガジン 第86号

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平成24年10月01日発行