しずおか日赤メールマガジン

第85号 平成24年09月01日発行


 残暑が厳しい毎日ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
 9月1日は、防災の日です。先日、東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフで最大級の巨大地震が発生した場合、死者は最大で32万人に達するとの被害想定が内閣府より発表されました。衝撃的な数字ですが、発生頻度は極めて低く、減災対策を徹底すれば死者は6万人に減少できるとも。いつ起こるかわからない地震に備え、被害を最大限に抑える「減災」対策はとても重要です。家具の固定や避難経路の確保など、身の回りでできる減災について確認しておきましょう。 
  さて、メールマガジン第85号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
・・・指の痛み、手首の痛みの謎を解明・・・「腱鞘炎」ってなに?

2. インフォメーション
“認知症看護認定看護師”が誕生しました

・・・指の痛み、手首の痛みの謎を解明・・・「腱鞘炎」ってなに?

整形外科副部長の野々宮廣章医師に聞く


◆指や手首の使い過ぎで起こるとされる腱鞘(けんしょう)炎。その症状について、手の外科を専門とする整形外科副部長の野々宮廣章医師に聞きました。







(1)腱鞘(けんしょう)炎の症状とは
 「朝、指が曲がりにくい」「俗に言う指の第2関節が痛い」「指がむくんでいる」 そんな経験ありませんか? そのうち、指を曲げると‘カクッ‘となって引っ掛かる感じで動く。無理に曲げたり伸ばしたりすると痛い。「治るかな?」と思って様子を見ていると指がだんだん伸びなくなったり、曲がらなくなったりして指全体の腫れた感じが取れなくなってきた。こんな症状が出現してくるのが「腱鞘炎(=ばね指)」です。どの指にも起きてきます。


(2)どうしてそうなるの?
 指を曲げる主な筋肉は、手首から肘までの間にあり、手首から指までは、「腱(けん)」というロープのようなものが手のひら・指の中を通っています。指を曲げる時は、筋肉が縮んで腱を引っ張ることにより指の関節を曲げます。伸ばす時は、手の甲にある指を伸ばす腱が引っ張って指を伸ばします。それに伴って、手のひらの腱は指の方に引っ張られます。
 指を曲げる時に、腱が浮き上がらないで指に沿って動くように、指の手のひら側には、「腱鞘(けんしょう)」と呼ばれるいくつかのトンネルがあります。このトンネルの部分で腱がこすれることで腱鞘炎をおこします。腱がこすれる原因は、腱の腫れです。常時、腱が腱鞘の壁をこするようになると、炎症が進んでトンネルの内壁が厚く腫れ、トンネルが狭くなるため腱の通過が困難になってきます。この状態が指のこわばり感が強くなったと思う時です。
 もっと腫れが強くなると腱はトンネルの手前で団子のように膨らんできます。この膨らんだ腱がトンネルを通る時に、入口と出口で引っ掛かってくるようになります。これが指を動かす時に‘カクッ‘となって動くと感じる状態です。「弾発現象」と呼ばれる状態で、「弾発指」「ばね指」と呼ばれます。
 さらに、腫れが強くなると、トンネル自体に入ることが出来なくなってきます。こうなってくると、指は伸びなくなったり、曲がらなくなったりしてきます。指の動きが悪くなると、指はさらにむくみやすくなってきます。動きの悪くなってきた関節は「関節拘縮(こうしゅく)」と言って、機械の歯車が錆びついて動かなくなるのと同じように関節自体の動きが悪くなり、動かす時に痛みを感じるようになってきます。関節拘縮は、1つの関節だけにとどまらず、その指の他の関節の動きも悪くします。さらに、隣の指の動きにも影響を与えることになってきます。したがって、この状態まで治療をしないで放置すると、指の動きを含めて改善させることは大変になります。

1) 正常な状態:腱が腱鞘(トンネル)をスムーズに動いている。

2) 炎症が起きた状態:腱と腱鞘が腫れた状態。腱鞘(トンネル)の壁が厚くなり腫れた腱が通り難くなっている。

3) 関節が動かなくなってきた状態:腫れた腱が腱鞘内に入れなくなって関節の動きを制限している。

 
(3)腱鞘炎は指を曲げる腱だけに起きるの?
 指の腱鞘は、手のひら側だけにあります。したがって、手首より指の先までは、腱鞘炎は手のひら側の指を曲げる腱に起こります。
 指を伸ばす腱の腱鞘は、手首の甲側にあります。「伸筋支帯」と呼ばれ、時計をしめた時のベルトの位置にあります。その腱は、6つのトンネルの中を通っています。そのため、指を伸ばす腱の腱鞘炎は、手首の甲側でおこります。代表的な腱鞘炎が、もっとも親指側のトンネルで起きる「ドケルバン病・狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)」です。親指を伸ばしたり広げたりする腱がトンネルを通る時、例えば、親指で物を握ったり、つまんだり、字を書くときに手首の親指のあたりに痛みを感じるのがそれにあたります。
 
(4)予防法はあるの?治療ってどうするの?
 腱鞘炎を防ぐためには、なかなか難しいですが、手指の負担をかけすぎないようにすることが大切です。特に、指の付け根に負担をかけないようにすることです。女性であれば、バッグ・買い物袋等を手で持つこと。スポーツであれば、テニス・ゴルフ等道具を手に握りこむことがそれにあたります。また、編み物・パソコン等の作業を長時間行うことも負担となります。定期的に休憩を入れて行うようにしましょう。
 それでも起きてしまった場合、腱の腫れを改善することが治療の第一歩です。炎症を起こしている部分に消炎剤を含有した塗り薬を1日数回塗布します。浮腫も影響しますから、手を頭の上に高く上げて指のグー・パー体操をします。これで改善しないようなら、腱鞘内に炎症を抑える注射を週に1回程度行います。3~5回の回数を限度とします。注射でも改善がみられない場合や、関節が拘縮をしてきている場合は、手術となります。トンネル(腱鞘)の入口の部分の皮膚を1cm程度切ってトンネルを切り開いて大きなトンネルにします。手術の翌日から積極的に指を動かして構いません。
 気になる症状がある方は、整形外科外来までご相談ください。
 
 
 整形外科副部長
 野々宮 廣章(ののみや ひろあき)
 日本整形外科学会専門医
 日本骨折治療学会評議員
 静岡手の外科・マイクロサージャリー研究会

 
 
 

“認知症看護認定看護師”が誕生しました。

  当院では、現在12名の認定看護師がそれぞれの専門分野で活躍しています。その中から、この7月に認知症看護の認定看護師資格を取得した森藤あゆみ看護師を紹介します。

 

◆普段はどのようなお仕事をしていますか?
 慢性期内科病棟(5-2病棟)に勤務しています。入院患者さんの健康が維持・増進でき、1日も早く退院できるよう、患者さんだけでなく、ご家族との関わりも大切にしながら、日常生活のお世話を中心に看護を行っています。介護サービスを利用しながら在宅へ退院される方、病状により自宅へ退院できない方もいらっしゃるため、医療福祉相談員や薬剤師などの他職種と連携しながら、退院指導や退院調整を行うこともあります。

 

◆認知症看護認定看護師とはどのような資格ですか?
 認知症を抱える人の生命・生活の質・尊厳を尊重し、認知症の発症から終末期に至る病状管理や生活環境を整えることができる認知症看護のエキスパートと言えます。生活障害として認知症の病態を理解し、その人に合わせた的確なケアを行い、家族・関係者へのサポートを行いながら、認知症看護の質の向上に貢献する役割を担っています。
 

◆資格取得を目指したきっかけは?
  これまで多くの認知症を持つ患者さんと関わってきた中で、同じ患者さんでもとてもしっかりしている時と、わからなくなってしまう時があり、それがとても不思議に感じ、認知症ってどんな病気なんだろうと興味を持ったことがきっかけでした。また勉強していく中で、その人に代ってその思いや意思を表現することの重要性を理解し、その人らしい生活を自分の意思で送ることをサポートしたいという気持ちが強くなり、資格取得を目指しました。
 

◆今後の目標や抱負を教えてください。
 超高齢社会を迎え、認知症を抱える人の数も年々増えています。たとえ認知症になっても、穏やかにその人らしく過ごしていけるよう、まずは、認知症を正しく理解してもらいたいと思っています。その機会として、認知症についての研修を行い、認知症に対する偏見や差別を少しでも軽減できるように、施設内だけでなく地域へも情報展開をしていきたいと考えています。皆さんと一緒に学び、認知症看護の質の向上に貢献できるよう頑張ります。

しずおか日赤メールマガジン 第85号

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平成24年09月01日発行