しずおか日赤メールマガジン

第82号 平成24年06月01日発行


 じめじめとした梅雨の季節がやってきました。みなさま、いかがおすごしでしょうか?
 雨の日が続くと、気分が暗く沈みがちですね。友人との会話中に、「雨っていやだな・・・」とつぶやいたところ、「私は好きだよ!雨の音って、聞いていると落ち着くし癒されるよ!」という意外な返事が返ってきました。家に帰り早速、テレビの音を消して静かに耳を澄ませてみると・・・雨音がしとしと流れる合間に、屋根や雨どいにあたってはじける音が重なり合い、不思議と癒し系の音楽のように聞こえてくるではありませんか!嫌だ嫌だと思っていた雨も、それ以来「今日はどんな音かな?」と楽しみになりました。
 雨の音をしっかり聞いてみたことってありますか?「ポツポツ」「ザーザー」「パラパラ」「しとしと」・・・・と様々です。是非、梅雨のひととき、テレビを消して雨の音を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 さて、メールマガジン第82号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
・・・たばこの害について知ろう・・・頭頸部癌と喫煙について

2. インフォメーション
世界赤十字デーキャンペーン2012を開催

・・・たばこの害について知ろう・・・頭頸部癌と喫煙について


耳鼻咽喉科 行木 一郎太 医師に聞く


◆ たばこをやめたいけどやめられないという方は多いのではないでしょうか?喫煙者本人はもとより、ご家族一緒に禁煙について考えてみませんか?喫煙が発症のリスクを高めている頭頸部癌を診察している耳鼻咽喉科部長の行木一郎太医師に聞きました。

 

(1)頭頸部癌と喫煙 
 「たばこは体に悪い」と聞いたことは皆さんあると思いますが、実際に喫煙が原因の病気はたくさんあります。例えばCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、動脈硬化症、心疾患、脳卒中、肺癌、食道癌、喉頭癌などなど。毎年日本では約10万人の成人喫煙者がたばこ関連疾患で亡くなっています。耳鼻咽喉科の医師である私は、たばこの煙の通り道である口からのどの奥まで(口腔、咽頭、喉頭)を診察する機会が多くあります。たばこを吸われている方が、のどが痛い、声がかすれた、飲み込む時に何か引っかかる感じがする、というような症状で受診された時は、悪性腫瘍を必ず念頭に置いて診察しています。
 耳鼻咽喉科で扱う悪性腫瘍を頭頸部癌と総称しますが、それらは喫煙と非常に強い関連があります。その中でも特に強い関連のあるものとして、口腔癌、中咽頭癌、喉頭癌が挙げられます。一般的に非喫煙者を1.00とした時、口腔癌2.85、咽頭癌3.29、肺癌4.45、喉頭癌32.5という喫煙者の死亡比が認められます。これらの部位は喫煙の暴露を受けるところなので、癌の発症に喫煙が一因となるのは当然と考えられます。
 それではどうして喫煙により癌が発症するのでしょうか?喫煙による発癌は、煙の中に存在する化学物質が大きな役割を占めています。しかし、喫煙者本人が口から吸い込む主流煙と、吐いた時に大気中に放出される副流煙を比べると、発癌物質は副流煙の方に多く含まれています。つまり、喫煙者と共有する空間で生活している非喫煙者も、受動的に発癌物質の暴露を受けていることになります。たばこを吸っていなくても、近くに吸っている人がいると癌になる可能性が高くなるのです。たばこは嗜好品ですが、吸う人が病気になる可能性が高いことを分かっているのであれば、やはりやめた方がよいでしょう。まして、たばこを吸っていない自分の家族まで癌にしてしまう危険性もあるのです。
 
(2)頭頸部癌になってしまったら・・・
 たばこを吸っている皆さんは、癌にかかった自分について想像したことがあるでしょうか?頭頸部癌は首から上の癌のことですが、もしなってしまうといろいろ困ったことになります。人間の首から上は洋服で隠されません。そのため治療をした場合は正常と異なるため目立ちます。喉頭は発声、嚥下にかかわる臓器です。癌ができると声がかすれたり、飲み込みにくくなります。その癌の治療によって声がかすれたり、出なくなったり、元気だったころと比べて飲み込みにくくなったりします。癌をうまくやっつけても、元通りになることは困難なのです。喉頭を摘出した場合はのどに気管孔を作製するため、首までお風呂につかることができなくなります。
 咽頭は口から入れた食べ物を食道まで送り込むために持ち上がって鼻腔を塞いだり、ギュッと縮まったりします。そのような場所に癌ができて治療を行うと、うまく飲み込めなくなる、鼻に食べ物がまわる、鼻声になるなどの症状が起こります。咽頭を大きく取ってしまうと、欠損した咽頭を縫い縮めることができなくなり、体の別の場所から組織を持ってきて、欠損部を再建し咽頭の空間をしっかり保つ手術が必要になります。神経をつなぐわけではないので、残った咽頭と連動して動くことはなく、手術前と同じように食べられるわけではありません。だいたい何でも食べられるようになることはありますが、決して元通りにはなりません。

 癌は老化で発生するものとも言われていますので、もちろんたばこを吸っていない人でもこれらの癌になることはありますが、なる確率がずいぶん低くなります。癌になったことによって大変な治療を受けた末に、元気に社会復帰されている方は大勢いらっしゃいます。しかし残念ながら亡くなってしまう方も大勢いらっしゃいます。人が亡くなることは、家族はもちろん、最後にかかわった我々も、非常に悲しくつらいものです。たばこを吸っていなかったらこの病気にならなかったかも、と考えても後の祭りです。皆さん各々の大切な方が、たばこが原因の病気にかからないように、たばこによって病気になり大変な思いをした経験のある方は、その経験を周りの皆さんに伝えていただきたく思います。知り合いの実体験ほど心に響く話はないと思います。たばこが原因の病気にかかり、大変な思いをして生還された方で、たばこをまた吸っている方はあまりいません。
 
(3)喫煙率は過去最低に
 厚生労働省が発表した2010年国民健康・栄養調査によると、たばこの喫煙率は全体で19.5%(前年23.4%)となり、初めて20%を割り込んだそうです。男性は32.2%(同38.2%)、女性は8.4%(同10.9%)と、それぞれ低下し、1986年の調査開始以来最低となりました。たばこをやめられている人は大勢いるので、やめられないと思っている方もきっとやめられるはずです。禁煙をサポートする薬もいくつか出てきており、バレニクリン酒石酸塩という薬を使用すると65.4%の喫煙者が禁煙に成功しています。当院では禁煙については各科でサポートしていますので、禁煙してみようと考えている方は相談してみてください。


耳鼻咽喉科部長
行木 一郎太(なめき いちろうた)
日本耳鼻咽喉科学会専門医
日本気管食道科学会専門医
補聴器相談医
 

世界赤十字デーキャンペーン2012を開催

  赤十字創始者アンリー・デュナンの生誕日である5月8日の「世界赤十字デー」と、5月12日の「看護の日」を記念し、平成24年5月8日(火)・9日(水)の2日間、『世界赤十字デーキャンペーン2012』を開催いたしました。
  毎年異なるテーマで行うパネル展示。今年は『新しい命の誕生を支える助産師の活動』をテーマに、妊娠初期から出産後まであらゆる場面でお母さんたちを支える助産師の活動を、その中で出会った多くの笑顔の写真とともに紹介しました。
 体験コーナーに置かれた赤ちゃんの人形を抱いた年配の来場者からは、「こんなに重かったんだねぇ」と昔を懐かしむ表情が見られました。
 また、看護や検査・薬の相談コーナーには多くの方が来場され、みなさんの健康への関心の高さが伺えました。
 

たくさんの笑顔が飾られたパネル

相談コーナーに立ち寄る来場者

来場者の関心を誘った非常食の展示

 

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平成24年06月01日発行