しずおか日赤メールマガジン

第78号 平成24年02月01日発行


 寒い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
 先週よりインフルエンザが猛威を振るっております。「咳エチケット」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?ウイルスを含むしぶきは、咳で1.5メートル、くしゃみでは3メートル周囲に飛び散るそうです。周囲への感染を防ぐためには、症状のある人がマスクをすることが最も有効的です。
 さて、メールマガジン第78号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
腰痛治療のウソとホント その4

2. インフォメーション
冬のあったかメニュー
~里芋田楽風~

腰痛治療のウソとホント その4  整形外科部長・脊椎センター長 小川潤

あなどれない圧迫骨折

せぼねは前方が缶詰のような形をしており(右図)、骨粗鬆症が進むと体重の重みに耐えかねて、ある日突然骨がつぶれたり、転倒や尻餅のような軽い怪我でつぶれてしまいます。このような圧迫骨折の多くの場合はつぶれることでかえって骨折部が安定するので通院治療も可能な骨折です。骨のつきもそれほど悪くなく、入院となっても1ヶ月もすればひとりで歩けるほどに回復します。ですから、腰が痛くなりお医者さんで圧迫骨折と診断を受けたのに、何ヶ月経っても痛みが治らないというのはおかしいのです。お歳のせいとか、背中が曲がっているからではありません。教科書的には、圧迫骨折は数あるせぼねの骨折のなかでも性質の良い骨折で、手術はめったに必要ないといわれてきました。ところが、最近の研究で、いつになっても治らない圧迫骨折は手術を必要とすることがわかってきました。ただし、その確率は10%程度ですので、むやみに怖がる必要もないのですが・・・


  あなたの骨折が手術を必要とするか、そうでないかの診断はレントゲンだけでもできることがあります。右図は骨の形がワニのクチのように見えませんか?ワニのクチの中は本来あるはずの骨がなくからっぽで黒く写る。骨の殻に相当する部分は硬いので、レントゲンに白く写る。これがワニのクチに見える理屈です。骨はどこへ行ったかというとスポンジのような骨なのでつぶれてしまったのです。ここにはいつまで待っても骨ができません。代わりに偽関節と言って、本来動くはずのない場所が体の動きに伴って数ミリメートル動きます。この骨が神経を圧迫するので痛いのです。



ワニのクチがな
い場合でも痛いときは、MRIを撮ってもらいましょう。つぶれた骨の中が白く見えます(左図)。これは空洞ないし水のようなものが貯まっているのです。えっ、せぼねの中って骨がつまっているんじゃないの、と思いましたか?これは骨がつぶれて中の骨に栄養がいかなくなり、骨が壊死したものと考えられています。これもワニのクチと親戚の所見です。
こうならないためにはどうすれば良いか?最初のうちに大人しく寝ていることがいいのか、コルセットを厳重に付けることがいいのか、骨粗鬆症の薬をたくさん使えばいいのか、サプリメントを飲めばいいのか。答えは、どれもNOです。どういうものがワニのクチになるのかはまだわかっておらず、運命的なものとしか言いようがありません。



 手術のやり方はいくつかあります。最近はBKP(バルーン・カイフォプラスティ)と言って骨を風船で膨らませて中に特殊なセメントを入れる方法があります。アメリカから渡ってきたこの方法は、手術も比較的簡単で局所麻酔で行われ、短期の入院で済むようです。静岡県でもいくつかの施設で実施されているようですが、どんな圧迫骨折にも有効なのかどうかはまだ明らかにされていません。手技が容易なため、放っておいても治る圧迫骨折にBKPを施行していると指摘されることもあります。手術をしたせぼねが硬くなりすぎてお隣の骨がまた同じようにつぶれるという問題も指摘されています。
 当院で実施しているのは古典的な方法で、まだつぶれていない隣の骨に力を借りる「脊椎後方固定術」というものです。両隣の骨にチタン製の金属を打ち込み、それを橋げたとしてせぼねに橋をかけるのです。しかしお隣さんもつぶれるかもしれない借金をかかえた骨です。まだつぶれていないとはいうものの、同じ長屋の住人ですから、ぎりぎりで生活しているのでそれほど頼りになりません。当科では金属と骨の間が緩むことをあらかじめ計算に入れ、そのような骨でも固定力をしっかり保てる方法を採用しています。詳しい方法は企業秘密・・・ではなくちょっと専門的になるので割愛しますが、試行錯誤の上、最近は良い成績が出せるようになりました。手術の翌日からトイレに行き、食事ができますが、手術の傷が大きいので治るのに時間がかかることが欠点です。このような大きな異物をお年寄りの体に入れて大丈夫なのかと思われるかもしれません。チタンは生体になじみやすい金属です。これによって異状を訴える方はほとんどいません。金属と骨は数ヶ月で緩みます。金属は骨がつくまでの間の仮の橋に過ぎません。脊椎後方固定術には必ず骨移植術を併用します。患者さん自身の骨(具体的には骨盤から借りてきます)をせぼねに撒(ま)いて、骨で作った一生モノの橋を完成させます。完成時金属は不要になりますが、一生体に入れておくのが原則です。

 

 しつこいようですが、もう一度強調。脊椎圧迫骨折は基本的には手術の要らない骨折です。不要な手術を受けることは止めましょう。骨折が生じてから約2ヶ月までの間は、特殊な場合を除いて手術は時期尚早です。
2ヶ月経っても治らない場合は専門医の診断を受けましょう。この痛みは圧迫骨折が原因ではないだろうと思っても、今まで元気だった方が急に歩かなくなったりしたら、是非診せて下さい。一口に圧迫骨折と言っても、多彩な病態があることがわかっています。「腰痛治療のウソとホント」その①から執筆してきて、一貫して申し上げてきましたが、“治らないのには訳がある”のです。


★腰痛治療のウソとホント その①、その②、その③は、ホームページ内の病院広報誌(第281号、287号、290号)よりご覧いただけます。


冬のあったかメニュー  ~里芋田楽風~

 毎日、寒い日が続いています。そんなときはホクホクあったかいおかずを食べたくなります。そこで今回は、秋から冬にかけておいしい里芋を使った「里芋田楽風」を紹介します。

 味噌だれは、多めに作ってビンなどに保存しておくことができます。大根、こんにゃくの田楽にはもちろん、茹でた小松菜やほうれん草と和えて和え物にしたり、千切りにした大根にかけてサラダ風にして食べるのもオススメです。


~ 里芋田楽風 4人分材料 ~

・里芋(皮つき)  380g
★しょうゆ 小さじ2/3
★みりん  小さじ2/3
★だし汁  カップ2(400cc)

・味噌だれ
●練りごま 大さじ1と1/3
●味噌   大さじ2
●さとう   大さじ2
●みりん  小さじ2/3
●だし汁  大さじ1/2


【作り方】
①皮をむいて食べやすい大きさに切った里芋を、★印のしょうゆ・みりん・だし汁で煮る
②●印の練りごま・味噌・さとう・みりん・だし汁を鍋に入れ、さっと煮て味噌だれを作る
③①の里芋に②のたれをかける
※ゆずの皮を添えると、上品な一品になります

みなさんもぜひ、ご家庭でお試しください。


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