しずおか日赤メールマガジン

第72号 平成23年08月01日発行


 蝉の鳴き声が聞こえ始め、子どもたちの夏休みが始まり、いよいよ夏本番を迎えました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 震災、原発など暗いニュースが続いていましたが、先日の女子サッカーワールド杯での『なでしこジャパン』の活躍には日本中が湧き、優勝を決めた瞬間の選手の笑顔は本当に美しく、日本中に勇気を与えてくれました。
 さて、メールマガジン第72号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
失神について

2. 医療安全ニュース
患者参加型の医療安全のすすめ

失神について  循環器科副部長 阪部優夫

 失神は一過性に生じる意識消失のことで、男性の3%,女性の3.5%にその経験があるとされています。失神の病態や原因となる病気は多岐にわたりますが、短い時間でなにごともなく回復した場合でも重篤な疾患の前駆症状であることもありますから注意が必要です。また、繰り返す失神は転倒した時に骨折などの怪我をすることがありますし、万が一自動車やバイクを運転しているときに意識を失うようなことがあれば交通事故を起こしてしまうこともあります。そのような事態を避けるためにも早めに受診をしましょう。

 失神を原因別に分類すると、心臓に原因がある場合が11%、心臓以外に原因があるものが70%と言われています。

 最も多いのは約40%を占める神経調節性失神です。これは強い精神的ストレス(恐怖や不快な情景など)や、朝礼などで長時間立っていたりすると起こるものです。吐き気や頭痛、物が2重に見える(複視)などの症状が出現した後に意識消失することが多いです。風邪をひいたり、前日にお酒を多く飲んで脱水状態になると生じ易いので朝食をしっかり食べたり、特に夏場にはこまめに水分補給をしたりすることで予防をすることができます。多くの方の場合そのような生活指導で予防できますが、発作を繰り返すようであれば薬による治療の適応となります。

 立ち上がった時にふらついたり、血の気が引く感じはないですか?それは起立性低血圧かもしれません。立ち上がると頭の位置が高くなります。正常な場合は脳に十分な血液を流すために自動的に血圧調整が行われ脳に十分に血液が流れるようになりますが、この調整が十分にできないと前述のような症状が出現します。糖尿病などで自律神経が障害された方、神経疾患をお持ちの方で生じることがあります。また他の疾患の治療に用いられている薬剤が原因となることが40%に認められますので、この様な症状をお持ちの方は一度主治医に御相談ください。

 

 以上が心臓以外に原因がある失神の代表的なものです。この様に心臓以外が原因の失神はおおごとにならずに済むことが多いですが、心臓の病気が原因で生じる失神は繰り返すことが多く、また重篤な心疾患の初発症状であることがあるため注意が必要です。心臓超音波検査(エコー)やホルター心電図(24時間心電図検査)、運動負荷試験など外来で施行可能な検査で診断が可能であることが多いです。

 心臓超音波検査は超音波を用いて体の表面から心臓の構造や機能の評価をするもので、痛みを伴わずに施行することができます。この検査で心臓に何らかの異常(病気)が見つかった場合には、まずそれに対する治療が必要になります。心臓超音波検査で心臓に疾患が見つからない場合の失神は不整脈が原因である可能性があります。

 不整脈は一過性(発作性)に出現することが多く、それが出現している時にしか正確な診断ができないことが多いです。外来で施行する通常の心電図検査は数秒間のみの記録しかできませんので、気まぐれに出現する不整脈を捉えるには工夫が必要です。

 ホルター心電図検査は病院(外来)で心電図を装着し帰宅して頂くものです。携帯型の記録機に記録が残りますので、装着したまま入浴以外の日常生活(仕事や運動)をして頂き症状が出現したときの心電図変化を捉えます。不整脈は出て欲しくないときにでるけれど、いざ外来での診察の時や検査で出て欲しいときにはなかなか出てくれないものです。症状が年に1-2度しかなくてホルター心電図検査でも捉えられない場合には、入院して頂きカテーテル検査(心臓電気生理検査)を行ったり、埋込型心電用データレコーダーを使用することにより正確な診断を行うことが可能となります。

 

 この様な検査で不整脈が原因と診断された場合には治療を行うこととなります。正常な心臓は1分間に60回から100回拍動しますが、脈が遅くなりすぎたり、逆に速くなりすぎると失神を生じる可能性があります。

 脈が遅くなりすぎる徐脈性(じょみゃくせい)不整脈に対しては、病態によってペースメーカー治療などの適応になりますし、脈が速くなりすぎる頻脈性(ひんみゃくせい)不整脈に対してはカテーテル治療や埋込型除細動器などの治療選択があります。

 いずれの検査・治療も当院循環器科での施行が可能ですので、失神や一過性の意識消失をご経験の方は一度ご相談ください。

 

 

患者参加型の医療安全のすすめ  医療安全推進室 ゼネラルリスクマネージャー 磯部潔

 

 静岡赤十字病院の理念と基本方針には「良質で安全な医療の提供」が謳われており、職員は日々安全管理の強化に努力しています。

 近年、医療安全への取り組みは医療機関・医療従事者が実施することはもちろんですが、医療の当事者である患者さんを含めた「患者参加型の医療安全」が注目されています。
当院においても患者さんを間違えないために患者さん自ら名乗っていただくことや一緒に薬剤の確認をすることを実践しています。

 米国においては「多くの病院・診療所、その他の医療の現場でほとんど活用されないままになっている重要な資源は患者さんである」として患者さん参加の必要性が叫ばれています。
 また、「Speak Up(質問があったら、気になることがあったら、おかしいと思ったら声に出そう)」というキャンペーンを展開しています。

 当院も患者さん参加の医療安全を目指しています。患者さんの持っている大切な情報を伝えていただくなど、患者さんの積極的な参加が安全な医療に繋がりますので是非ご協力を願いします。

 

しずおか日赤メールマガジン 第72号

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