しずおか日赤メールマガジン

第69号 平成23年05月01日発行


新緑の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 5月は1日の日本赤十字社創立記念日、8日の世界赤十字デーなど赤十字に大変ゆかりのある月となっています。当院でも5月10日(火)から12日(木)まで赤十字キャンペーンを行い各種相談や当院の取り組みの紹介をさせていただきますので、ぜひみなさまお立ち寄り下さい。
 さて、メールマガジン第69号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
頭痛薬を飲みすぎていませんか

2. インフォメーション
赤十字デーキャンペーン2011

頭痛薬を飲みすぎていませんか       第二神経内科部長 今井 昇

 これという原因もなく慢性的に繰り返し起こる頭痛、いわゆる頭痛もちの頭痛を 「一次性頭痛」と呼んでいます。一次性頭痛は片頭痛、 緊張型頭痛、 群発頭痛の三つに大きく分類されます。 このうち片頭痛と群発頭痛は普段は全く症状がありませんが、 ひとたび頭痛発作がおきると激しい頭痛や吐き気、 嘔吐のため、 仕事や家事をするのが困難となります。特に片頭痛は人口の約8%がかかっている病気で、多くの人が頭痛で苦しんでいます(図1)。

片頭痛は、 頭の片側が痛むことに由来してつけられた病名ですが、 実際には片側に起こるのは六割で四割は両側性に起こります。 脈が打つような痛みが特徴的で、 吐き気や嘔吐を伴います。 また、 体を動かすと痛みがひどくなり、 さらに音や光に過敏になります。 頭痛は数時間から3日間ほど続き、 発作中は大変つらいのですが、 発作が終われば、 普段と変わらない状態に戻ります。

薬局では様々な頭痛薬が売られています。これらの市販薬の基本となる成分は風邪薬の主成分と同じ消炎鎮痛薬で、それに効果を高めるためにカフェインなど他の成分が加えられています。これらの市販薬は頭痛発作が起こり始めた直後であればよく効きます。しかし、薬を飲むタイミングが少しでも遅れてしまうと効きません。そのため頭痛が起こる前に予防的に服薬したり、これから頭痛が起こると感じるときに服薬したりするようになります。この結果本当は頭痛が起こらない日でも頭痛薬を飲むようになってしまい、しだいに頭痛薬を飲み過ぎることになってしまいます。そうなると逆に頭痛が増えてしまい、ますます薬を飲むようになってしまいます。

では、どうして頭痛薬を飲み過ぎると頭痛が増えてしまうのでしょうか。皆さんは夢中になって何かをしているとき、知らない間にケガをしていたことはありませんか。痛みの感じ方は脳の中で調節されていて、同じ痛みの刺激でもその時によって強く感じたり弱く感じたりします。頭痛薬を飲みすぎると痛みの感じ方が敏感になってしまい、常に頭痛を感じるようになってしまうのです。この痛みの感じ方が敏感になった状態を中枢性疼痛過敏と呼んでいます。(図2)。そうなるとますます頭痛薬を飲むようになってしまい、いつまでたっても頭痛が治らなくなります。このように頭痛薬の飲みすぎで起こる頭痛を「薬物乱用頭痛」と呼んでいます。

「薬物乱用」と言うと麻薬や覚醒剤など禁止されている薬物を使った印象がありますが、この場合の「乱用」(英語ではabuse)は、本来は使いすぎの意味の「濫用」なのです(英語ではoveruse)。「濫」の字が常用外漢字のため「乱」を使うことになっています。

ところで、どのぐらい頭痛薬を飲むと薬物乱用頭痛になるのでしょうか。一般的には1ヶ月で10日間以上頭痛薬を飲むことが3ヶ月以上続いている場合、薬物乱用頭痛と診断します。いつも週に2~3回は頭痛薬を飲んでいる人は薬物乱用頭痛になっている恐れがあります。

さて、薬物乱用頭痛になった場合はどのようにすればよくなるのでしょうか。まずは原因を取り除くことです。つまり飲み過ぎている頭痛薬を中止することです。頭痛薬を中止する方法には、ある日から全く飲まない完全断薬法と、徐々に飲む量を減らす漸減断薬法がありますが、漸減断薬法ではうまくいかないことが多く、断薬できたとしても時間がかかります。実際に当院で漸減断薬法を行い成功した患者さんは断薬するまで数年かかりました。完全断薬法では早いと3日ほどで良くなります。ただ完全断薬を行うと、断薬開始直後に反跳性(はんちょうせい)頭痛と呼ばれる禁断症状のような頭痛と吐き気が起こることがあります。このため断薬するときには吐き気止めや、中枢性疼痛過敏を改善する作用がある薬を処方しています。軽い場合は家で安静にしていればやり過ごせますが、ひどい場合には強い吐き気を伴い食事も満足に取れなくなります。このような人は入院して点滴を行っています。

断薬に成功した後は、連日あった頭痛は無くなり、元々あったときどき起こる片頭痛発作だけになります。ここで重要なのは再び市販の鎮痛薬を飲み過ぎないようにすることです。そのためには片頭痛発作が起こりにくくなる薬を飲むこと、もし発作がおこったら特効薬を飲んで早く発作を抑えることです。片頭痛の発作が起こりにくくなる薬を片頭痛予防薬と呼んでいます。予防薬というと、発作が起こりそうになった時に飲む薬と思う人がいますが、片頭痛の予防薬は頭痛の有無にかかわらず毎日飲んでいると頭痛の起こる回数が少なくなる薬です。たとえば毎週1~2回は頭痛が起こっていたのが月に数回に減る薬です。また片頭痛の発作に飲む特効薬はトリプタン系と呼ばれる薬で、日本では5種類あります。トリプタン系の頭痛薬は市販の鎮痛薬では抑えられないような発作でも抑えることができますが、特効薬といえども吐いてしまうくらい発作がひどくなると効果が悪くなります。そのため頭痛が起こったら早めに服薬してもらうようにしています。

片頭痛の予防薬と特効薬をうまく使うことで再び市販の頭痛薬を飲み過ぎることなく、普段の生活を快適に送れるようになります。頭痛薬を飲み過ぎと思う方、飲んでいてもよくならない方は薬物乱用頭痛になっている恐れがありますので、一度受診してみてください。




世界赤十字キャンペーン2011開催

 赤十字の創始者アンリー・デュナン(スイス人)の生誕日である5月8日は、「世界赤十字デー」です。日本赤十字社では、この日を中心に全国で赤十字運動月間を展開し、多くの方々に赤十字の思想や活動に対する理解と協力を呼びかけています。
 当院でも、看護の日(5月12日)と合わせて下記の日程によりキャンペーンを行いますので、この機会にぜひお立ち寄りください。

日 時:平成23年5月10日(火)~5月12日(木)9:00~12:00
会 場:静岡赤十字病院 本館1階 玄関ロビー
内 容:
◆看護師による「看護・健康相談」「血圧測定」(毎日9:00~12:00)
◆栄養士による「栄養相談」(10日9:00~12:00)
◆検査技師による「検査相談」「血管年齢測定」(11日9:00~12:00)
◆健康生活支援講習指導員による「癒しのハンドケア」(12日10:00~12:00)
◆薬剤師による「薬相談」(12日10:00~12:00)
◆ギャラリー展示「東日本大震災救護活動」(毎日展示)
※実施内容によって開催日・時間が異なりますのでご了承ください。

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平成23年05月01日発行