しずおか日赤メールマガジン

第63号 平成22年11月01日発行


 晩秋の候、みなさまいかがお過ごしでしょうか。先日の大雨で、静岡でも一気に季節が進んだように感じられます。
 大雨の被害が一段と大きかった奄美大島には、赤十字(鹿児島県支部)より救護班を派遣しました。
 活動の様子は、当院ホームページ(トップページ)の『病院からのお知らせ』よりご覧いただけます。ぜひチェックしてみてください。
 さて、メールマガジン第63号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
不登校の医療的背景について

2. インフォメーション
あたたかな気持ちを届けます
お見舞いメール☆

「不登校の医療的背景について」 小児科部長 西澤 和倫

 不登校とは病気などの明らかな理由がなく、年間30日以上学校を休んでいる状態をいいます。現在小学生では0.3%程度、中学生では3%程度の子どもたちが不登校であるといわれています。今まで勉強も運動もがんばってきて、優等生だった子どもが急に不登校になったりすることもあります。誰が、いつ不登校になっても不思議はないのです。不登校というと友人との関係、先生との関係、家族との関係で何かトラブルがなかったか、などというように環境要因に注意が向きがちです。もちろん、これらの環境要因が直接の原因になっていることも多いのですが、本人の医療的背景も検討しておくことが必要だと思います。
 学校を休んだり、不登校傾向のある患者さんが来院された時に私たちは、1.身体の病気がないか2.心の病気がないか3.発達障害がないか、ということを考えていきます。

身体の病気

 学校を休むことは、頭痛、腹痛、嘔気、倦怠感などの症状を訴えて始まることが多いようです。まず考えなければならないことは、身体の病気があるのか、あるのかもしれないのか、ないのか。あるとしたらどのような病気が考えられるのかなどです。
 たとえば、頭痛を訴えている場合には、かぜなどの上気道の感染症が原因であることがほとんどです。症状が続く場合には、起立性調節障害、副鼻腔炎、中耳炎、片頭痛、緊張型頭痛、高血圧などの可能性も考えていかなければならないでしょう。
 同様に腹痛を訴えている場合には、胃腸炎などの感染症、便秘などが多くを占めますが、症状が続く場合には反復性腹痛、過敏性腸症候群、消化性潰瘍、慢性胃炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)、起立性調節障害などの可能性も考えていかなければならないでしょう。上気道炎や胃腸炎などの感染症は多くの場合に症状は短期間で軽快していきます。しかし、症状が改善しなければ他の病気も考えていかなければなりません。どのような病気を考えて、どのタイミングで、どこまで検査を行うかが問題になります。
 身体の病気で症状の説明がつかない時には、ストレスが症状に与える影響も考慮していかなければならないと思います。それに平行して、心の病気や発達障害についても検討していくことが望ましいと思います。学校を休みがちなお子さんの場合には、それが慢性化しないためには早期の対応が大切だといわれています。早期の対応のためには、身体の病気があるのか、ないのか、早期の判断が必要だと思います。

心の病気

 心の病気には不安障害、適応障害、うつ病、統合失調症などがあります。これらの病気が診断されれば、どのように子どもたちに対応するのがよいかわかりますし、それぞれの病気に有効な治療法を選択することもできます。不登校状態が長期化してしまう前に、心の病気があるのか、ないのかは早急に検討されるべきだと思います。
 不安とは明確に対象を持たない恐怖のことを指し、それに対し発生する感情の一種です。不安は差し迫った危険を人が脅威に対処することができるようにするための警戒信号といえます。これらの不安が高まり、苦痛を感じたり、生活上・職業上・学習上の障害を生じるようになった状態が不安障害です。分離不安障害、パニック障害(しばしばか過換気症候群を引き起こす)、特定の恐怖症(閉所恐怖症など)、社会不安障害(以前対人恐怖症とよばれていた状態に近い)、全般性不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害などがあります。アメリカのある調査では4人に1人が少なくとも1つの不安障害の診断基準に合致していると報告されています。治療には認知行動療法や薬物療法などがあります。不登校の子どもの中には社会不安障害と診断できる例がたびたびあります。このような場合には治療により状態が改善する可能性があるのです。

発達障害

 発達障害には、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉性障害・アスペルガー障害などの広汎性発達障害、学習障害、知的障害などがあります。これらの障害があると、衝動性を抑えきれなかったり、他の子どもたちと感じ方が異なるために気持ちが通じにくかったり、集団生活の調和を乱してしまったり、学習におけるハンディキャップがあったりします。これらのために、仲間から浮いてしまったり、大人からしかられたりする機会が多くなったりします。発達障害の子どもは不登校になるリスクが高いといわれていますが、不登校状態になって初めて発達障害であることが判明することもよくあります。このような例に接すると、もっと早期に発達障害であることがわかり、対応の仕方をかえていれば、不登校にならなくても済んだのではないかと思うこともあります。
 ADHDは環境による障害ではなく、先天的な障害であると考えられています。学童期の3~5%がADHDと診断されるといわれています。主な症状は、気が散りやすい、集中が持続できない、忘れ物が多い、片づけられない、落ち着きがない、多動、身勝手で自己主張が多い、衝動的などです。治療の目標は、ADHDをもつ子が自分の良いところを見つけ、伸ばし、良好な社会生活ができるようにすることです。セルフエスティーム(自己意識や自尊心)を伸ばすことが必要ですが、これはすべての子どもたちに言えることだと思います。ペアレントトレーニングなどの心理社会的治療とともに、内服薬を服用することによって症状の改善が期待できます。
 広汎性発達障害とは、典型的な自閉症に限らず、自閉症に似ているけれども少し違うという、自閉的な特徴を持っている状態の総称です。2%弱の子どもたちがこのような障害を持っているといわれています。 対人関係の障害、コミュニケーションの障害、想像力・関心の範囲の障害の3つの領域の障害により特徴づけれられます。知能と言語発達に遅れを持たないものをアスペルガー障害と称します。アスペルガー障害の子どもは相手の気持ち・状況を考えないマイペースな言動、 言葉を表面的に受けとり言外の意味が理解できない 、融通性のない思考・行動などの特徴があり、これらの特徴から周囲の子どもたちとの関係がうまくいかなくなり、不登校に至ってしまうことがあります。このような場合には学校側にアスペルガー障害に対する理解をしてもらい、個々の子どもの特性に合わせて柔軟に対応することが必要になります。

 このように不登校の子どもたちに対して、医療ができることがいくつかあります。不登校でお悩みのお子さんがいらっしゃれば、御相談いただければ私たちは積極的に対応していきたいと考えています。

あたたかな気持ちを届けます お見舞いメール☆

 当院では、ホームページ上で入院患者さんへのお見舞いメールを受付ています。
遠方でなかなかお見舞いに行けない、手術直後なので症状が落ち着いたらお邪魔したい、ちょっとした励ましの言葉を送りたいなどという方のために、電子メールで送られたメッセージを、職員が専用の用紙にプリントして患者さんにお届けします。用紙のデザインは、出産祝いや入院中に誕生日を迎えた方のためのお祝い用デザイン、子ども向けなど全6種類を用意しています。
ぜひ、患者さんへの励ましやお見舞いの気持ちを伝えるツールとして「お見舞いメール」をご活用ください。

しずおか日赤メールマガジン 第63号

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平成22年11月01日発行