しずおか日赤メールマガジン

第62号 平成22年10月01日発行


 みなさまこんにちは。
 一雨ごとに涼しさが増している今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
 今年の夏は猛暑が続いただけに、秋から冬にかけてのこれからの季節が過ごしやすく感じられるのではと少々期待しております☆
 さて、メールマガジン第62号をお届けします。
 みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
放射線治療

2. インフォメーション
地域医療支援病院に承認
されました

「放射線治療」  放射線科副部長 備前麻衣子

放射線治療とがん

 日本では毎年50万人以上が「がん」になります。そして、近年、がんは死亡原因の第一位を占めています。がん治療の3本柱は外科治療(手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤)です。放射線治療は、手術と同じく、がんとその周辺のみを治療する局所治療ですが、手術とは異なり摘出することがないため身体の形をもとのまま残し、生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)を維持できるという利点があります。放射線は100年以上にわたって、安全で有効ながんの治療法として使われてきました。欧米ではがん患者の約2/3が放射線治療を受けています。日本ではがん患者の1/4となっていますが、最近では高齢化率の上昇に伴い放射線治療を受ける人が急激に増えてきています。浸襲が少ないため、ご高齢な方や合併症(その他の病気)があって手術のできない方でも比較的安全に行うことができます。

放射線の種類と方法

 放射線は電磁波と粒子線の2種類に大きく分けられます。電磁波にはX線とγ(ガンマ)線があり、粒子線には電子線、陽子線、中性子線、π中間子線、重荷電粒子線等があります。現在、一般的な放射線治療に用いられているのはX線、電子線、γ線の3種類です。直線加速器(リニアック)と呼ばれる装置から発生する高エネルギーX線がほとんどで、表在性の腫瘍にはやはりリニアックから発生する高エネルギー電子線を用います。また近年、粒子線治療等の高度先進医療も注目されてきています。放射線の単位はGy(グレイ)と表記します。方法としては放射線を体の外側から照射する外部照射と、体の内側から照射する※内部照射とがあります。後者には放射線源を直接組織に埋め込んだり、子宮や食道などの管腔臓器内から照射する方法があります。

放射線治療の適応と目的

 放射線治療の対象は、多くの悪性腫瘍(がん)および一部の良性疾患(ケロイド、血管腫、甲状腺眼症等)です。悪性腫瘍において、局所制御を目的とする根治的治療と延命を目的とする姑息的治療、がんの症状(痛みなど)をやわらげることを目的とする対症療法、手術をしやすくするために行う術前照射や、手術や化学療法でがんが消えたあとに再発予防として行う予防照射、手術中にがん組織に直接照射する※術中照射、骨髄移植を行う直前に行う全身照射などがあります。また、放射線治療は手術と併用する場合、抗がん剤と併用する場合、放射線治療だけで行う場合があります。放射線治療の照射線量は照射目的や照射部位に応じて決定します。また、抗がん剤と併用する場合や有害事象(副作用)によっては、途中で回数(線量)を変更することもあります。(※当院では、内部照射・術中照射は施行しておりません。)

放射線の作用

 放射線治療はがん細胞内のDNAに損傷を与えることで作用し、がん細胞が増殖できないようにします。正常な細胞も放射線によって損傷を受けますが、正常な細胞は自ら損傷を修復することができます。がん細胞は自ら修復することができません。
 放射線治療の目標は、がん細胞を死滅させるのに十分な量の放射線を体内に照射し、一方では、正常な組織の損傷をなるべく減らすことです。

放射線治療の流れ

 通常は主治医(内科、外科等)からの紹介で放射線科を受診します。放射線腫瘍医は、種々の検査結果を参考にして、どこにどのように放射線をあてるか診察の上で治療方針を決定します。
 放射線治療の準備段階として、まずCTを撮影し身体の皮膚に直接マジックでマーキングします。これをシミュレーションまたは位置決めと呼びます。頭頸部領域の治療では、シェルと呼ばれる固定具を作成します。皮膚に書いた印は治療期間中ずっと必要になりますので、消さないように気をつけていただいています。薄くなってきたら、治療の際に書き足しています。CTで得られた画像を用い、三次元治療計画装置で放射線量の分布を把握しながら、照射方法を決めていきます。通常はこのような治療計画が終了すると翌日もしくは次の週の月曜日から放射線治療を施行していきます。
 通常4週から7週間程度、土日、祝日を除いて毎日(1日1回)行います。放射線治療の利点の一つは、多くは通院治療で受けられ、ほとんどの場合通常の日常生活ができることです。実際の照射時間は1~2分程度です。患者さんには台の上で仰向けにじっとしていただくだけで、息をとめる必要もありません。放射線があたっても痛くも熱くもありませんので、ご自身ではあたっているかどうかも感じません。リニアック室へ入ってから出てくるまでは、通常15分~20分です。一般的に一番多く行われている外部放射線治療の場合、放射線は体の中を通過するだけで、治療後に放射線が患者さん自身に残って、身体から放射線が出るなどということはなく、周りの方への影響もありません。

放射線治療の有事事象(副作用)

 放射線治療の有害事象(副作用)は通常は照射部位だけに起こりますが、全身的には疲れやすい、眠くなるなどの症状が出る方もいます。その程度にはかなり個人差があります。一般に放射線の有害事象は、照射中に生じる急性期有害事象と、照射後3カ月前後の亜急性期有害事象、そして半年~数年たってから起こる晩期有害事象があります。
 急性期有害事象は基本的には炎症によって起こる反応で、照射後約1カ月前後で改善します。前述の通り、放射線は通常照射部位のみの有害事象が起きます。脳では悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛、傾眠傾向、耳では中耳炎、口腔では味覚障害、有痛性粘膜炎、唾液腺では口腔内乾燥、咽頭では咽頭粘膜炎、食道では食道炎、肺では肺炎、小腸・大腸にあたれば嘔気、嘔吐、下痢、膀胱では膀胱炎、直腸では直腸炎、皮膚では皮膚炎、脱毛などです。
 重篤な晩期の有害事象はごく少数の人にしか現れません。しかしながら、個人差が大きいことなどから、有害事象が絶対に起こらないなどとは断言できません。いずれにしても照射されていない部位には有害事象は起こりません。

おわりに

 がん治療において、患者さんそれぞれの考え方や価値観も大切だと考えます。まずは疑問に思うことやご不明な点を担当医にしっかり相談してください。

地域医療支援病院に承認されました

 静岡赤十字病院は、平成22年9月16日付で、「地域医療支援病院」に承認されました。
 地域医療支援病院とは、それぞれの機能に応じた役割を担う地域の医療機関と緊密な連携を図ることにより、すべての方々に一貫した質の高い医療を提供する機能をもつ病院のことです。

地域医療支援病院としての当院の取り組み

●地域医療連携の推進
地域の診療所・病院の先生方から紹介された患者さんに対して、より専門的な治療や検査を行い、患者さんの病状が安定した後は、紹介をいただいたかかりつけ医もしくはその他の適切な医療機関に逆紹介します。

●共同診療の推進
当院には、地域の開業医の先生方と共同で入院治療をすすめていく開放型病床を設置しています。また、当院の高度医療機器(CT・MRIなど)の共同利用も行っています。

●医療従事者研修会の推進
地域の医師を含めた症例検討会や、地域の医療従事者の資質向上のための研修を定期的に開催しています。

●救急医療の推進
第三次救急医療機関となる当院では、救命救急センターにおいて、救急科専門医・専従医が中心となり、24時間体制で救急医療を行っています。

「地域医療支援病院」として、これまで以上に地域の医療機関との連携に努め、地域の医療の質向上を図り、皆さまにより信頼される病院になれるよう、一層の努力をしてまいります。

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平成22年10月01日発行