しずおか日赤メールマガジン

第61号 平成22年09月01日発行


 みなさまこんにちは。「立秋」を過ぎて、暦の上ではもう秋…のはずですが、今年の夏はまだまだ暑い日が続きそうですね。
 さて、メールマガジン第61号をお届けします。今号では、6月中旬までハイチに派遣されていた当院の下山看護師長から現地での活動報告があります。
 みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
ハイチ大地震被災者救援
活動の報告

2. インフォメーション
dERU(国内型緊急対応ユニット)の展開訓練を実施

ハイチ大地震被災者救援活動の報告   6-2病棟看護師長 下山美穂

 西半球最貧国の首都を直撃したハイチ大地震は、現地時間2010年1月12日16時53分に、カリブ海地域のハイチ共和国、首都ポルトープランスから西へ15kmのところで発生しました。マグニチュード7.0の地震は、その地震の規模の大きさに加え、ハイチの政情不安定に起因する社会基盤の脆弱さが相俟って、死者22万人、被災者は総人口の1/3にあたる300万人以上の崩壊的な被害をもたらしました。国際的な救援活動は、前例がないほどの困難を極め、地震発生から半年がたった今でも、給水や医療サービスの提供、物資配布などの緊急支援が必要とされています。同時に被災地では、復興への動きも始まっています。赤十字の国際救援は、赤十字国際委員会(ICRC/中立的な立場で紛争による犠牲者の保護を行う機関)、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟/災害救護や災害対策事業等の総合調整を行う機関)、そして当事国や援助国赤十字・赤新月社(国際活動・国内活動を行う機関)相互の協力関係の下に実施されています。
  日本赤十字社では、このような状況を受けて発災翌日に調査員を派遣し、1月25日には仮設診療所での救援活動を開始するなど、首都ポルトープランスや震源地に近いレオガンでの支援活動を展開してきました。これまでに、緊急対応ユニット(ERU)チームを現地に順次派遣し、ポルトープランスとレオガンの2箇所で医療活動を継続してきています。私は、第5班ERUのメンバーとして2010年5月18日から2010年6月22日までの1ヵ月間ハイチに滞在し、レオガンを活動の拠点として現地での医療活動に参加してきました。
 日赤が救援活動のために整備しているERUは、基礎保健ERUとして赤十字国際連盟に登録されており、国際赤十字の災害対応システムのなかで日赤単独型の医療班として活動することができます。派遣スタッフは、全国の赤十字施設からあらかじめERUスタッフとして研修を受け、登録されている要員から選出されます。そのため、派遣が決定し、出発の際に初めて一緒に活動するメンバーと会うということも少なくありません。私の場合は、今回一緒に活動した第5班のメンバー全員が初対面で、出発当日の朝初めて会った仲間とともに1ヶ月間、お互いの存在を確認しながら過ごしてきました。

 レオガンは震災地に近く、建物の8割から9割が倒壊した町ですが、震災から5ヶ月を経過していても、都市部の復興に比べ、倒壊家屋の撤去や再建が遅れていました。気温は1日を通して30~35℃、湿度は80~90%といったなか、電気や水の確保が充分でないという環境での1ヶ月の活動は、派遣スタッフ1人1人の健康管理も重要な課題でした。
  レオガンにある日赤クリニックでは、月曜から土曜日の週5日、午前8時30分から午後4時まで、現地スタッフとともに活動を行ってきています。震災直後の急性期にある重症患者さんが減少する一方で感染症や慢性疾患による患者さんの数が増え、日赤クリニックでは連日60~100人の患者さんの診療を行っていました。テントでの生活が長期化していることや水源確保が困難なことから、衛生状態の悪化と、都市部と郊外の医療格差は、以前よりも大きな問題になってきていました。
  こうした状況のなかで、日赤だけではなく赤十字国際連盟の活動も都市部から郊外に移していく方向で動きはじめていました。レオガン地区には、まだ数多くのキャンプが点在し、テント生活を送っている人が大勢います。日赤では、連盟と協力しながらキャンプを訪問し、そこで暮らす人々の生活状況や衛生状況、健康状態などの情報を共有するとともに復興のための今後の活動内容を検討していました。

 私自身の具体的な活動は、主にレオガンにある日赤クリニックの運営状況の把握と問題点の改善に努め、より効果的な運営が行われるように調整を図っていくことでした。クリニックではヘッドナースの役割を担いながら、看護業務の支援だけではなく医療資器材や医薬品の管理、クリニックのマネジメントなどを担当し、現地スタッフと関わっていきました。日赤クリニックは、地元の看護大学の敷地を借りて運営していましたが、スコールの後にはテント内が水浸しになるため、水はけ等を考慮してテントの移設にも取り組みました。また、レオガンの復興支援が問題となるなかで、多くのNGO団体も現地調査に訪れていたので、日赤クリニックでは、そうした団体の訪問にも応じていました。活動当初は、公用語であるクレオール語やフランス語が話せない私は、現地スタッフとの関係を築いていけるか不安がありました。毎日1人1人の現地スタッフとの関わりを大切にしていくなかで、スタッフに助けられながら互いを認め合うことができ、次第に良い関係のなかで楽しく活動をしていくことができていきました。

 ハイチが震災前の状態に戻るまでには、まだまだ遠い道のりに思えます。貧困に加え、政府がほとんど機能しない状況が続いているハイチでは課題が山積し、今後もかなりの労力と時間が必要になると思います。私たち赤十字は、今後も継続的に、切れ目のない支援を行っていく必要があると感じています。

dERU(国内型救援対応ユニット)の展開訓練を実施

 8月13日(金)、20日(金)の2日間、当院の救護班員がdERU(domestic Emergency Response Unitの略:国内型緊急対応ユニット)展開訓練を実施しました。
 dERUとは、仮設診療所とそれを運ぶトラック・コンテナ、訓練されたスタッフ、そしてそれらを円滑に運用するためのシステムの総称で、日本赤十字社が大規模地震被害想定地域に計画的に配備しているものです。
  仮設診療所の設備としては、医療資機材や医薬品、IT・通信機器、給水システム、大型エアテントといった救護所に必要なものが積まれています。
 訓練では、医療資機材の設営および展開方法を確認した後、実際に救護所を設置し、医療資機材の配置場所の検証を行いました。

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