しずおか日赤メールマガジン

第56号 平成22年04月01日発行


 陽春の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 さて、メールマガジン第56号をお届けします。本日より新年度が始まり、気持ちも新たに編集に励んでいきたいと思います。
 みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
不整脈(心房細動・粗動)診療の3場面

2. インフォメーション
入院患者の皆様へアンケート調査を実施しました

「不整脈(心房細動・粗動)診療の3場面」 循環器科部長 藤木 明

最近、元気に活躍中の方が突然脳梗塞になられ、緊急入院されるニュースに驚かされます。このような場合は、不整脈の中でも心房細動・粗動が原因となって、塞栓症を発症していることが多いのです。そこで今回はこの心房細動・粗動にしぼって、3つの診療場面を想定してみました。あなたは大丈夫ですか?

場面その1:様子をみる場合

患者:心臓が突然ドキドキして苦しくなります。同時に胸がつまったような感じがして体がだるくなります。心配なので来てみました。
医者:ドキドキしている時は不規則な感じですか、それとも規則正しい動悸ですか?トットトートットーと全く不規則な脈拍であれば、それだけで心房細動の診断がつきます。この心房細動は心臓の上の部屋(心房)が突然不規則に速く興奮する不整脈です。心房興奮は下の部屋(心室)に伝わりますが、その際ふるいにかけられ、実際に心室まで伝わる興奮は限られます。この伝わり方により動悸の症状が大きく左右されます。たくさん伝われば動悸症状も強く、逆に少ししか伝わらなければ発作に気付かないこともあります。
患者:確かに発作時に脈は不規則に乱れます。多少違和感がありますが、そのまま仕事は続けられますし、数分間で症状は消えます。
医者:症状も軽く持続も短い様ですから、このまま経過をみてよいと考えますが、できれば24時間ホルター心電図検査を行いましょう。また原因となるような内科的な異常が隠れていないか、血液生化学的検査もあわせて行ってみましょう。発作の頻度、持続、症状の強さが変化するようでしたら、もう少し詳しく検査をしましょう。

解説

突然の心臓の違和感ということから不整脈より、むしろ狭心症ではないかと心配してくる方もみえます。また、なにか別の大きな病気の前兆かと不安感が強いこともあります。いずれにせよ発作時の症状と心電図所見から診断がつけば、それだけで大分安心できます。なお心房細動は粗動に比べて心房がより細かく興奮します。

場面その2:心拍数をコントロールする場合

医者:心房細動・粗動の発作時に軽く動いただけで動悸を強く感じる方には、交感神経の緊張(車のアクセル)を抑えるβ遮断薬が有効です。これは心房細動・粗動それ自体を停止させるより、心房から心室への伝導を抑制 し、頻脈を防ぐことで症状を軽くします。また発作の誘因に運動やストレスが関与している場合は、発作の予防にも有効です。
患者:発作の頻度は少なく直ぐに治るのですが、発作中の動悸が強くつらいので薬を試してみます。その薬は続けていつも飲まなくてはなりませんか。
医者:発作の頻度が少ない場合は、発作の起きそうな時にだけ事前に服用しておくという方法もあります。
患者:副作用はないのでしょうか。
医者:交感神経は体が活動する時に活躍しますから、過度に抑制すると体が疲れやすくなったり、元気がなくなったりすることもあります。しかし、いずれも服用を中止すればすぐに元に戻ります。

解説

薬を服用しなくてはならない場合は、その目的と使用方法、期間、さらに副作用などについて具体的な説明をします。患者さんも治療に対するおおよその目安をたてることができます。
頻脈性心房細動・粗動に対する心拍応答のコントロールには、β遮断薬以外に、ジギタリス、Ca拮抗薬が利用されます。ジギタリスは心不全例に対して使用できる利点があります。Ca拮抗薬は強力に徐拍化しますが心機能に対しては抑制的に働くため、心不全例への投与は慎重に行う必要があります。

場面その3:心房細動・粗動を本格的に治療する場合

医者:心房細動・粗動発作の頻度が多く、持続時間が長く、症状も強く、日常生活に支障を来す状態となっている場合は、抗不整脈薬を用いた本格的な治療に入 ります。
患者:確かに発作がひどくて一日中何も手につきません。少し続けて薬を飲んでみたいと思います。
医者:ただし抗不整脈薬は不整脈を治す作用だけでなく、逆に悪くする可能性もあり、さじかげんがとても重要な薬です。心電図検査を繰り返し、症状をみなが ら慎重に治療を始めましょう。それから、もう一つ大事なこと があります。それは心房細動の持続が長くなると塞栓症の危険性が生じることです。これは心房の中で血液の流れが滞ることにより血がかたまり、それが頭の血管につまる病気です。しかし、血液を固まり難くする薬を利用すれば、心房細動・粗動があっても塞栓症を予防することができます。
患者:血が固まりにくくなっても大丈夫でしょうか。
医者:固まりにくくなるだけで、ちゃんと止血できるように血液検査をしながら薬の量を調節するので大丈夫です。ただし、胃潰瘍や眼底出血や出血傾向などの病気を持っている方は使用できません。

解説

動悸の原因が明らかとなり治療を要することが判明し、今度はその治療がうまくいくのか不安感が強いと思われます。状況によっては入院の上、治療を行うこと もできます。
 心房細動・粗動は、それ自体が心臓の働きを麻痺させて突然死を起こすようなことはありませんが、心臓の機能を若干低下させます。一方、心房細動・粗動の 持続が数日以上になると塞栓症の危険性が生じます。従って発 作の頻度が多く持続が長い場合は、心房細動予防のための抗不整脈薬と抗凝固薬による治療が適応となります。効果が不十分な場合はカテーテル手術も考えま す。また仮に心房細動が予防できず慢性化しても、多くの方々は 抗凝固治療と心拍数コントロール治療で、日常生活に大きな支障なく過ごすことができますのでご安心ください。

心房細動・粗動のまとめ

今回お示ししたように同じ不整脈でも、それぞれの患者さんの状態、生活様式により最適の対処方法は異なります。疑わしい症状がある場合は、やみくもに不安を募らせるより、ご自分にあった方針を相談して決め、充実した時間を過ごせるよう一度受診されることをおすすめします。
 

インフォメーション:入院患者の皆様へアンケート調査を実施しました

平成22年2月3日に当院にご入院の患者さんを対象に、アンケート調査を行いました。
これは毎年継続して実施しているもので、患者さんの声を収集したり、改善の度合いを前年と比較したりして、よりよい病院づくりに活かしています。
当院は、みなさまからいただいた結果を真摯に受け止め、患者さんができるだけ快適に療養生活を送っていただけるよう今後も努力いたします。

アンケート結果はこちらよりご覧いただけます。
 

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平成22年04月01日発行