しずおか日赤メールマガジン

第52号 平成21年12月01日発行


 初冬の候、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 今年も早いもので残すところあとひと月となりました。何かと気ぜわしくなるこの時期ですので、お体には十分ご自愛ください。
 さて、メールマガジン第52号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
いろいろな医療機器とちょっとした雑学のお話

2. インフォメーション
海外たすけあい 義援金募集

「いろいろな医療機器とちょっとした雑学のお話」 臨床工学課 課長 田形勝至

 私は臨床工学技士という仕事をしています。
 臨床工学技士とは、医師の指示のもとで、心臓の手術をする際に心臓と肺を代行する人工心肺装置、腎不全の患者さんの腎臓を代行する人工透析、呼吸における換気の代行をする人工呼吸器、重篤な不整脈に使用する電気ショックなど、生命維持管理装置の操作保守点検を担当する技術者です。
 今回は、いろいろな医療機器とちょっとした雑学についてお話しします。

パソコンと医療機器

 ここ数年の間に、家庭でのパソコンの普及率も上がってきています。たくさんの便利な機能があるパソコンですが、病院の医療安全にも役立っているのです。
 輸液や注射器に入った薬剤を正確に投与する自動輸液ポンプやシリンジポンプなどは、パソコンと接続していろいろな履歴解析ができるようになっています。例えば『○日○時○分に電源を入れた』『流量を○ml/hから○ml/hに変更した』『圧力警報が作動した』など、医療機器内部に保存されていたデータをパソコンの画面で確認することができるのです。また一般市民の方でも使用できるようになったAED(半自動除細動器)にもこのようなシステムが搭載されており、使用した後、どのような不整脈を解析し音声指示を出したのかが分かる様になっています。

バイタルサインと医療機器

 バイタルサイン【vital signs】とは生きている状態を示す指標で血圧・呼吸・体温・脈拍などの生命の徴候をいいます。このバイタルサインを測定する機器の話をします。

《電子血圧計》
 患者さんから、このような質問を受けることがあります。「家で血圧を測ると120/80位なのに病院で測ったら140/90・130/75、病院の血圧計2台とも値が違う。壊れていませんか?」最近は家電量販店で販売されている電子血圧計の精度も向上しており、病院で使用する血圧計とあまり変わらなくなってきています。では、どうして違う値が出てしまうのでしょう?
 答えとしては、まず血圧は常に変動していることを念頭においていただいて、問題は測定の仕方です。病院に着いたらすぐに測定するのではなくソファーに5分ほど座り、リラックスした気持ちで測定してください。姿勢をまっすぐにし、腕をいれる位置は心臓と同じ高さになるようにします。また厚手のセーターなどを着ている場合は脱いでから測定してください。これを守らないと正しい値は出ません。興奮状態にある場合は、ますます値が上がる可能性があります。このような時はすこし休んでからもう一度測定してください。
 当院の血圧計は1ヶ月に一度、精密な圧力校正機器を使用して精度管理に努めています。ご家庭で測定する場合は、取扱説明書をよく読んで、毎日同じ時間に同じ体位で測定するようにしてください。そうすれば日頃の正確な自分の血圧がわかるはずです。

《パルスオキシメーター(SpO2)》
 パルスオキシメーターとは、少し大きな洗濯ばさみのような器具を指先につけ、血液中にどれくらい酸素が溶け込んでいるかとういう指数(血中酸素飽和度)を見ることで、呼吸状態を観察することができる機械です。指先で測る正常値は95~98%程度で、呼吸不全になると90%以下に下がってしまいます。ところが健康な人でも日本のある場所で測定すると呼吸不全でも無いのに平均86%になってしまう場所があります。その場所は富士山の山頂です。理由は気圧が平地の2/3ほどと低く、酸素の量が少ないため、物理的に血液中への酸素の取り込み具合が悪くなるからです。

《電子体温計》
 当院でも使用している90秒で測定できる電子体温計は、脇の下に挟んで50~120秒(平均90秒)後にピピピと音がして値が表示されます。実はこの値は実測値ではなく予測値です。正確な体温とは、脳や内臓など、変化しにくい体の内部の温度のことをいいます。脇の下は、ある程度温まっているように思えますが多少外気に触れているので、すぐに正確な体温が測れるわけではありません。身体の内部の温度と同じにするには脇の下を10分ほど、しっかりと閉じていなければなりません。熱力学的に完全に温まった温度を「平衡温」といいます。電子血圧計はこの平衡温を測定開始から数十秒間で脇の下の温まり方を細かく分析演算して、平均90秒ほどで予測して表示しています。もし時間があるようならば90秒後にピピピと音がしても取り出さずに待ってみてください。10分ほどすると再度ピピピと音がします。このときの温度が体温の実測値を表示しているのです。

手術室でのちょっとしたお話

 病気や怪我などで手術が必要になった場合、手術室に入室する前には、指輪、ピアス、ネックレス等の貴金属は必ずはずしていただきます。理由のひとつに、電気メスを使用する事で身体表面にある金属類の部分に熱傷を 起こす危険性があるからです。
年に数回、手術を控えた患者さんの指輪をはずしてくださいという依頼が当課に寄せられます。石鹸を使用し指に絹糸を螺旋状に巻き、はずす努力はしますが、どうしてもはずれない場合は、特殊なペンチで切断することになります。指輪を数年以上はずさずにしておくと指の関節の腫れや浮腫みなどで、自分ではずすことができなくなる可能性があります。特に中高年の女性に多く見られます。思い出のある大切な指輪などは、たまにはずすことを心がけてみるのも良いと思います。

携帯電話について

 「医療機器が誤動作する恐れがあるため、院内では決められた場所以外では使用しないでください。」というルールがあります。では本当に誤動作する恐れがあるのでしょうか?
 十数年前、携帯電話が普及し始めた頃、NHKの取材を受け実際に検証した覚えがあります。たしかに当時の携帯では心電図にノイズが混入したり、輸液ポンプの流量表示が点滅するなどの誤動作がありました。しかし現在では、携帯メーカーの技術向上や医療機器メーカーの電磁波防御素材などの開発が進んだことで電磁波による影響が少なくなり、院内で使用出来る場所もだいぶ緩和されました。改善されてきたとはいえ、電磁波に関しては未だに解明されていない部分もあります。特に体内に埋め込んだペースメーカーに携帯電話を20cmほど近づけると誤動作する恐れがあります。また補聴器を使用している人の近くでは補聴器に雑音が入ることがありますから注意が必要です。ルールを守って使用するようにしましょう。

終わりに

 私は当院での医療機器安全管理責任者も兼務しており医療機器が安全に動作するよう日常的な点検や保守に努めています。医療機器に関する質問等がありましたら、お気軽に臨床工学課までお尋ねください。

インフォメーション

海外たすけあい 義援金募集海外たすけあい 義援金募集

 「海外たすけあい」は日本赤十字社とNHKが共同で実施している国際援助キャンペーンです。お寄せいただいた義援金は、赤十字の世界的なネットワークを通じて、紛争・災害時の緊急救援活動や復興支援、ならびに災害対策や保健医療などの分野で開発途上国への長期的な支援に使われます。
静岡赤十字病院でも、チャリティーボックスを正面玄関総合案内所に設置します。ご協力をよろしくお願いいたします。
   
「海外たすけあい」義援金募集期間
★平成21年12月1日(火)~平成21年12月25日(金)まで


詳しくは日本赤十字社ホームページをご覧ください。

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平成21年12月01日発行