しずおか日赤メールマガジン

第49号 平成21年09月01日発行


 みなさまこんにちは。9月1日は『防災の日』ということで、災害の未然防止や被害の軽減を図るための訓練が各地で行われました。
 静岡県はかねてより東海地震が起こると言われている地域であり、また、先月11日には駿河湾沖を震源とする地震を体験したことで、いっそう住民の災害に対する意識は高まっていると感じます。防災週間を機会に日頃の『備え』を再点検してみるのもよいですね。
 さて、メールマガジン第49号をお届けします。みなさまには引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

目次

1. 今月の病院ニュース
ヘリコバクター・ピロリ菌について

2. インフォメーション
契約駐車場のご案内

「ヘリコバクター・ピロリ菌について」 内科副部長 広川 雅彦

「ヘリコバクター・ピロリ菌」はどんな菌?

 私たちの食べた物は、食道を通って胃に送られます。胃では、食べ物を消化するために胃酸が分泌されており、胃の中は強い酸性の状態にあります。ピロリ菌は1983年にオーストラリアのウォレンとマーシャルによって発見され、彼らは2005年にノーベル医学生理学賞も受賞しています。約3μmのらせん状の細菌で、数本の鞭毛を持ち、この鞭毛を回転させて活発に動き回り、人の胃の粘膜の表面や細胞の間に入り込んで炎症を起こします。胃の中は酸性なので殺菌されて住めないのではと思われがちですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っていて、胃の中で大量のアンモニアを作ることができます。このアンモニアで、胃酸を中和して酸性の胃の中に住むことができるのです。ヘリコバクター・ピロリ菌は人の胃の中に住む細菌で、胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起きる原因の1つです。

ピロリ菌はどうしてうつるの?

 ピロリ菌は全ての人の胃にいるわけではありません。しかし日本人のおよそ6000万人は感染していると言われています。我が国では衛生環境が整ったことにより30歳代以下の人は感染率が低いのですが、40歳以上では70~80%の人がピロリ菌に感染しています。主に口から感染しますが、その経路ははっきりしていません。しかし、感染は免疫能力が不完全な幼少期に起こり、成人は感染する機会はほとんどないと考えられています。親がピロリ菌に感染している家庭では幼児に口移しで食べ物を与えないなどの注意が必要でしょう。

胃にピロリ菌がいると必ず潰瘍になるの?

 ピロリ菌に感染すると必ず潰瘍になるわけではありません。ピロリ菌感染者のうち約2~3%の人が潰瘍になります。しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人のうち約80~95%がピロリ菌に感染しており、ピロリ菌は潰瘍の原因として大きな比重を占めています。胃潰瘍の主な症状は、胃の痛みやもたれ、胸やけ、げっぷ、食欲不振、吐き気、吐血、下血などです。胃の痛みは食後すぐや空腹時に起こるのが特徴です。ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことがわかっています。またピロリ菌がいる場合、胃潰瘍を一度薬で治療しても1年後には60%の人が再発してしまいます。しかし除菌することで胃、十二指腸潰瘍の再発率は著しく低下することがわかっています。

ピロリ菌の検査はどうやってするの?

ピロリ菌に感染しているかを調べる検査には、血液検査、尿素呼気試験、内視鏡検査、便検査などがあります。尿素呼気試験とは、呼気(吐き出した息)を採取して調べる方法です。よって内視鏡をしなくても調べられますが、保険適応になるのは胃、十二指腸潰瘍の患者さんのみです。また、ピロリ菌除菌をしたあと、本当にいなくなっているかを調べる時にも検査しますが、詳しくは内科または消化器科の医師にご相談ください。

ピロリ菌に感染した人はみんな除菌した方がいいの?

 ピロリ菌に感染した人の中で除菌治療が勧められるのは胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者さんです。特に胃潰瘍を何度も繰り返す人はピロリ菌に感染しているかどうかの検査をして除菌する方がいいでしょう。除菌療法は胃酸 の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を朝・夕食後7日間服用します。その成功率は約80~90%で、必ず成功するわけではありません。10人中1、2人は除菌に失敗することがあります。除菌治療に失敗したらどうなるのかということですが、除菌に失敗しても、薬の種類を変えて二次除菌治療を行うことが出来ます。なお、二次除菌治療中はお酒を飲まないで治療する必要があります。
 ピロリ菌と胃がんの関係については、まだはっきりとはわかっていません。しかしまれな病気ですが、胃の悪性リンパ腫のなかでも悪性度の低いマルトリンパ腫では、ピロリ菌除菌により改善する可能性があることがわかっており、他の病気に関しても現在研究が進められています。

除菌治療でみられる副作用は?

 主な副作用は2つ、下痢、軟便と味覚異常です。血液検査で肝機能が悪くなる場合もあります。これ以外の症状が現れることもありますので、副作用については医師や薬剤師に相談してください。これとは別に除菌成功後にみられる症状として、胃の働きが活発になり、逆流性食道炎や胃・十二指腸にただれがみられる場合があります。いずれも軽症で治療が必要となることはまれで、制酸薬などで改善することが多いです。ただし、胸やけや胃の調子が悪いなどの症状が激しい場合や、ひどくなった場合は我慢せず主治医や薬剤師に相談してください。また、除菌成功後に肥満、コレステロール上昇などの生活習慣病の出現も報告されており、生活習慣も乱さないようにすることが大切です。

除菌治療を成功させるために

薬は指示されたとおり、1日2回7日間きちんと服用してください。治療中、自分の判断で薬を飲むのをやめると除菌に失敗し、治療薬が効かないピロリ菌が現れてしまうことがあります。治療中に胃の症状が良くなったとしても、この治療は胃の症状を取るための治療ではなく、胃の中のピロリ菌を除菌するためのものです。途中で薬を飲むのをやめずに除菌成功のために最後まできちんと飲みましょう。また除菌治療中はできる限り禁煙することをお勧めします。

最後に

 日本では一度ピロリ菌除菌が成功すれば、再び感染することはほとんどありません。だだし、注意していただきたいのは、ピロリ菌除菌が成功しても、胃潰瘍、胃がんなどになる可能性はありますので、引き続き胃の検査は定期的に行う必要があります。胃潰瘍、慢性胃炎の方は、日常生活では、食事は規則的に食べる、アルコールはほどほどに、タバコをやめる、ストレスをためないなどの注意が必要です。またピロリ菌とは別に、痛み止めを飲んでいると胃潰瘍になることがありますので、胃の症状がある場合は主治医にご相談ください。

インフォメーション

契約駐車場のご案内

 伊伝パーキングの病院駐車場としての利用は、平成21年8月31日をもちまして終了させていただきました。
 ご迷惑をおかけ致しますが、当院駐車場または他の契約駐車場(TKNパーキング・タケダパーキング・佐乃春パーキング)をご利用くださいますようお願い致します。

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