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病理診断科部

ようこそ病理の世界へ

  • 病理の仕事は何をしているの?
  • 体のどこかが病気になると、その病気なった部位(病変部)では、細胞*や、組織*、臓器*にさまざまな障害が起こります。
    病変部では細胞・組織が正常な働きができなくなったり(機能障害)、細胞・組織の形や構築に異常(形態変化)が出てきます。
    病理の主な仕事は、病変部から取られた細胞・組織を調べて、どのような病気であるかを決めること(病理診断)です。提出された材料を肉眼的に検査し、さらに顕微鏡による詳細な観察を行います。特徴的な形態変化を示す病気については、病理診断は他の検査方法では取って代わることができない、絶対的な信頼性をもった診断(確定診断、最終診断)として位置付けられています。病理診断が有用な病気は多くありますが、特に腫瘍**の診断は、良性・悪性の判定、組織型(そしきけい)(どのような種類の腫瘍か)の決定など、病理診断が最も真価を発揮する分野といえます。

    * 複数の細胞の集団で一定の構造と機能を持つものを組織とよび、複数の組織が集まって器官がつくられています。たとえば、胃という器官は、上皮組織や結合組織、平滑筋組織などが組み合わさって構成されており、このうち上皮組織は多数の上皮細胞から成り立っています(大きさは、細胞<組織<器官の関係になります)。

    ** 腫瘍とは、自律性をもった細胞の異常増殖から成る病変と定義されています。放置した場合の生命予後(よご)(その病気により生命が左右されるかどうか)により、良性と悪性に分けられます。一般にひらがなで書いた「がん」という名称は悪性腫瘍全般に対して用いられます。たとえば、「胃がん」の多くは、「癌(=癌腫(がんしゅ)、上皮性悪性腫瘍)」ですが、悪性リンパ腫のような「肉腫(にくしゅ)(非上皮性悪性腫瘍)」も含まれます
  • どんな種類の検査があるの?
  • 病理で行われる検査は大きく分けて4つ、(1)組織(そしき)診(しん)(生検(せいけん)および手術材料の検索)、(2)細胞診(さいぼうしん)、(3)術中迅速診断、(4)病理解剖(剖検(ぼうけん))があります。

    (1)組織(そしき)診(しん):組織標本を用いた病理診断のことです。病変のある組織の一部を切り取り、顕微鏡標本を作製して病気の診断を行う場合、生検(せいけん)(バイオプシー)と呼ばれます。通常、生検材料は数ミリから大きくても数センチまでの小さな組織です。手術で摘出された臓器の検索も行います。手術材料の場合は、病気の診断はもちろん、腫瘍の場合は病変が残存していないか、リンパ節に転移はないかなどを詳細に検討します。治療効果判定(治療の効き目の評価)や、治療薬の選択に必要な情報提供(乳癌におけるホルモン受容体の検索など)も行っています。

    (2)細胞診(さいぼうしん):組織(そしき)診(しん)と異なり、ある程度ばらばらになった細胞を標本にして行う病理診断の1分野です。喀痰(かくたん)や尿などの排出物に含まれる細胞や、体の一部をこすったり、針を刺して取られた細胞を、顕微鏡標本として観察し、病気のスクリーニング(ふるい分け)や診断を行います。組織診と比べると、患者さんの負担が小さいことが特徴です。がん検診などで広く利用されています。

    (3)術中迅速診断:手術中に提出された組織について、短時間のうちに調べる検査です。悪性腫瘍の手術の場合は、病変が体に残っていないかどうかの判断や、リンパ節などへの転移がないかの確認を行い、手術の方針を決める重要な役割を負っています。

    (4)病理解剖(剖検(ぼうけん)):不幸にして亡くなられた患者さんについて、生前の診断や治療が適切であったか検討します。原因やメカニズムのよくわかっていない病気の解明にも役立っています。
  • テレビの医療ドラマに出てくる病理医ってどんな仕事しているの?普通の医師とは違うの?
  • 病理医の仕事は主に、『生検(せいけん)材料(病変部から切りとられた組織片)』や『手術材料(手術によって切除された組織や臓器)』からつくられた標本を、顕微鏡を使ってどのような病気なのかを判断すること(病理診断)です。たとえば、ある病変が「がん」なのか「がんでない」のか、がんならばどのような種類のがんなのか、を最終的に決めているのは病理医なのです。病理診断の結果は患者さんの治療方針に影響するため、間違いが許されない仕事といえます。病理医は特定の患者さんの担当医(主治医)になるわけではなく、患者さん本人と接することがほとんどないため、日本ではその存在はあまり知られていないのが現状です。一方で、病理医は担当医を通じて患者さんと深く関わっており、欧米では内科や外科のドクターと同じ「臨床医(りんしょうい)」として認められています。一定期間、専門的なトレーニングを受け、日本病理学会が行う試験に合格した医師には、病理専門医という資格が与えられます。
  • 病理医と患者の関係は?
  • 現在のところ病理医と患者さんが直接、診察や治療といった関係で関わることはありません。しかし実際は担当医(主治医)を通して間接的にですが、密接に患者さんと関わっています。
    具体的にはどういう関係なのか、わかりやすく図でみてみましょう。

  • 病院に病理部門があると何かメリットがあるの?
  • 現在、日本病理学会で認定を受けた病理専門医は国内に2千人程度しかいないため、全国の病院では常勤病理医の確保が大変困難な状況にあります。そのため病理医が不在で、病理診断を外注検査として外部に委託している医療機関が数多くあります。
    当院では複数の非常勤病理医が確保されていることから、病理診断の外注委託は行っておらず、患者さんに短期間で病理診断の提供が可能です。個々の患者さんの診療内容を、担当医(主治医)と病理医が密接に話し合い、共有することができるため、患者さんに質の高い医療を提供することが可能となっています。
    珍しい病気や、診断や治療に苦慮した患者さんのデータ、病理解剖例などを、担当医と病理医が定期的に検討する機会(カンファレンス)を設けており、病院全体の医療レベル向上に役立っています。臨床研修医のトレーニング、医療スタッフの学会発表にも協力しています。
  • どんな人が働いているの?
  • 組織標本をもとに、主に顕微鏡を使って病気の診断を行う病理医(病理医:Q4、Q5、Q7参照)、病理医のもと細胞診断を行う細胞検査士、組織標本や細胞標本を作製する臨床検査技師が働いています。細胞検査士は、臨床検査技師のうち、一定のトレーニングを受け、日本臨床細胞学会による資格認定を受けた専門家です。また標本の管理や受付業務を行う事務の方がいます。
  • 将来自分もこのような仕事に関わりたいけど、どうしたらなれるの?
  • 通常の病院病理検査室のスタッフは病理医、臨床検査技師、事務員(または秘書)から構成されている場合が多いと思われます。
    病理医は、病理診断を専門とする医師を指します。病理診断は、診療業務に該当するため、平成16年4月以降に医師免許を取得した医師は、病理医を目指す場合、臨床研修を終えていることが必須となります。病理解剖の執刀には、厚生労働省が認定する解剖資格が必要となり、申請には一定の経験が要求されます。専門医としての資格は、日本病理学会が認定する病理専門医、日本臨床細胞学会が認定する細胞診専門医・指導医があり、トレーニング期間を経て資格試験に合格する必要があります。一人前の病理医になるには、長い訓練期間が必要です。初期のトレーニングは、大学病院の病理部や、症例が豊富で病理診断部門の充実した総合病院で行うのが理想的です。
    臨床検査技師は文部科学省および厚生労働省の定める教育機関(4年制大学、短期大学、専門学校)を卒業し国家試験を受験し取得します。細胞検査士となるためには、臨床検査技師の国家資格を持っていることが前提で、日本臨床細胞学会の定める細胞検査士制度にそった試験を受験し、認定資格を取得することが必要です。