しずおか日赤メールマガジンMailmagazine blog

第166号 令和元年06月01日発行

2019年6月1日

そろそろ梅雨入りも間近。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年は、梅雨入りの前に真夏日を観測するなど体調を崩しやすい気候が続いています。
特に注意したいのが「熱中症」。先週、テレビ局から依頼があり、当院の救急科中田部長が熱中症の予防と対策について取材を受けました。気温が急に高くなったことにより体が気温の変化についていけないことが原因の一つ。何かおかしいなと思ったら、まずは体を休め、水分を補給することが大切です。
外に出る機会も多くなると思いますが、炎天下では無理をしないように気をつけましょう。
それでは、メールマガジン第166号をお届けいたします。
引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

検査と手術で「腹部大動脈瘤」の破裂を防ぐ(2)

血管外科部長 兼 外科副部長
新谷 恒弘 医師

自覚症状なし。知らぬ間に忍び寄る大動脈瘤の恐怖

大動脈瘤とは、大動脈が正常な太さの1.5倍以上に膨らんだ状態のこと。動脈のどの部分にもできる可能性はあるのですが、腹部の場合は30mmぐらいから「腹部大動脈瘤」とされます(図1)。拍動性腫瘤として手で触れてわかることもありますが、破裂するまでほとんど症状がないため、知らぬ間に大きくなっていることが多い。他の疾患の検査として行われたCTや腹部超音波検査で、たまたま発見されることもよくあります。
図1)腹部大動脈瘤(大動脈瘤.comより)

予見のためには積極的な腹部超音波検査の実施を

腹部大動脈瘤はいったん破裂すると、痛みや出血性のショックのため高い確率で生命が奪われる恐ろしい病気。しかし早期に発見して適切な治療を行えば、破裂の回避は可能です。
動脈瘤発生には動脈硬化が強く関係していることがわかっていますし、また腹部大動脈瘤の存在は超音波検査ではっきりと確認することが可能。特にリスク因子(図2)のある方は、定期的に検査することを強く勧めます。
図2)腹部大動脈瘤のリスク因子

根本的な治療は手術のみ 低侵襲な血管内治療も

残念ながら一度形成された動脈瘤は小さくなることはなく、根本的な治療は手術しかありません。膨らみが小さければ降圧剤で血圧を下げ、動脈瘤が拡大する速度を落としながら、定期的に経過を観察します。動脈瘤は大きいほど破裂しやすいため、45〜50mmまで膨らんだ段階で手術が行われることが多くなっています。
手術には大きく分けて、人工血管置換術とステントグラフト内挿術(血管内治療)があります。人工血管置換術は確立した手技ですが、開腹し一時的に血流を止めるため、手術時間も入院期間も長く、高齢者や心臓疾患、開腹歴のある方にはリスクが高い。そうしたハイリスクの患者さんには、より低侵襲な治療としてステントグラフト内挿術が推奨されます。これは鼠径部から血管に細い管を挿入し、ステントグラフトと呼ばれる人工血管を挿入する方法です。二つの方法にはそれぞれ優れた点があるため、当院では患者さんの状態や器質的な特徴、ライフスタイルなどを配慮して治療方法を提案します。
とはいうものの、最も大事なのは早い段階で大動脈瘤の存在を知ること。健診や人間ドックなどで定期的に腹部超音波検査を行っていない方は、ぜひ積極的なスクリーニング検査をお勧めします。

「すずらんのしおり」を患者さんのもとへ

ANAグループより、心を込めたメッセージ付きのしおりをいただきました

5月29日(水)、ANAグループ(全日本空輸株式会社)から当院に入院されている患者さんへ、一枚一枚に手書きのメッセージが添えられた「すずらんのしおり」約330枚が贈呈されました。ANAグループによるこの活動は、昭和31年から続いており、今年は全国各地51カ所の赤十字病院と関連施設において行われ、当院では、富士山静岡空港開港の年に始まり、今年で11回目を迎えました。
贈呈式では、静岡県出身の客室乗務員・芹澤紗英さんから入院患者さんへ、直接しおりが手渡されました。しおりは、イラスト部分をこすると、すずらんの爽やかな香りが出ます。会場でしおりを受け取った患者さんからは笑顔がこぼれ、早速その香りを楽しまれていました。花言葉は「再び幸せが訪れる」。すずらんのしおりが回復への励みになりますように!

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